2011年2月17日木曜日

現地化とTPP支持の見返りだったトヨタの信用回復?(カトラー Twitter: @katoler_genron )

現地化とTPP支持の見返りだったトヨタの信用回復?

もう一度、私が作った年表に戻ってほしい。
管首相がTPP加入検討を言い出したのが昨年の10月、そのわずか1ヶ月後に開催されたAPEC では、オバマ米大統領を議長とするTPPの枠組みが実質的に決められた。この時点で日本の輸出産業のTPP参加の支持とトヨタの米国市場での信用回復まで のシナリオがほぼ決定されたと見ていいだろう。

トヨタは米国における更なる現地化の推進、そして日本国内においてはTPP参加支持に回ることを前提に米国内での信用回復という企業として大きな見 返りを得た。一方、管直人率いる現政権は、国内輸出産業や経団連等の財界、経済団体からの支持を得られという見通しから、米国追従という、かつて辿った道 に再び舞い戻り「第三の開国」を言い出したのだ。
ちなみに「第三の開国」とは、私がこのブログで3年前に言い出した(関連記事参照)ことである。 管首相が私のブログを読んでそのキーワードをパクったのかどうかは知るよしもないが、言っていることの中味は全く異なる。私が主張した「第三の開国」と は、移民の受け入れも含めてアジアに向かって国を開くことを意味しており、管の言うように米国の前に三度ひれ伏すことではない。

管直人「第三の開国」の虚妄

先週まで出張で北海道の人々と仕事をしていたが、地元はTPP加入問題で相当ピリピリしていた。北海道の農林水産業の命運がこの問題には絡んでいるわけだから無理もないことだ。もし、TPPが発動されたら北海道は独立すべしと私は言っている。
リ ンゴ、さくらんぼ、牛肉とこれまでも農産物自由化の波はあったが日本の農産品は生き残ってきた、だから今回も何とかなるはずで、反対しているのは、農協だ けだというナイーブな議論を展開する経済学者もいるが、彼らは北海道の農業の現場の声を一度でも聞いたことがあるのか。
TPPで標的になるのは、米や大豆、とうもろこしといった主要農産物である。リンゴやさくらんぼといった高付加価値化が可能な嗜好作物ではない。
北 海道は、遺伝子組み換え作物の導入を拒否する決議を行っているが、TPP加入によって、先ず米国が標的にするのは、このあたりになるのではないか。関税障 壁を無くし防御手段を喪失させ、格安な米国の農産物が怒濤のように押し寄せてくることに恐怖を抱いた日本の農業生産者に対して、遺伝子組み換え作物の種苗 を採用するか、米国からの価格破壊の農作物輸出を受け入れるかの二者択一を迫るのだ。

当然、北海道の農民としては、米国農産物の価格破壊により壊滅させられるより、遺伝子組み換え作物の受け入れに踏み切るしかなくなるだろう。米国は 国策会社のモンサント社を通じて食料資源戦略を世界的に発動しており、その基本戦略が遺伝子組み換え作物の世界的な普及推進である。米国モンサント社は、 ベトナム戦争で悪名高い枯れ葉剤を製造していた化学会社で、その後は農薬を製造していたが、チマチマ農薬を造っているより、その農薬に耐性のある遺伝子組 み換えの種苗を生産する方が百倍儲かると現在のような企業に様変わりした。しかし、この会社は、私にいわせれば人類史に残る極悪な企業だ。

何が極悪かといえば、遺伝子組み換え種子の知財権を握り、世界中の農民を支配・搾取し、食料を米国の覇権構築の手段にすることを明確に意図している からだ。しかも、その意図を実現するために、自社の種苗の安全性は確認されているとし、自然界の作物が持っている遺伝子を汚染することを厭わない。ブラジ ルのように遺伝子組み換え作物を拒否していた国に対しては秘密裏に遺伝子組み換えトウモロコシを密輸してばらまき、在来種の遺伝子を汚染させ遺伝子組み換 え作物を既成事実化させるというようなあくどい所業を行っている。

TPPが発動されれば、北海道の大地は、こうしたモンサントのような企業に蹂躙されてしまうだろう。管直人は、日本の土と作物を汚染させた文字通り「売国奴」として末代まで糾弾されることになる。

0 件のコメント: