2011年2月13日日曜日

連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2008年10月号

資源大国日本へのパラダイム転換—海洋開発の重要性   寺島実郎

「日本は国土の狭い資源小国だ」というのが、大方の日本に関する認識である。確かに、日本の国土面積37.8万平方キロメートルは世界61番目にす ぎない。しかし、排他的経済水域の面積では447万平方キロメートルと第6位の海洋国家である。固定観念を脱し、海洋の可能性に眼を向けるならば、日本は 資源大国になり得る可能性を秘めているといえよう。

最近の海洋調査の成果によれば、日本の海底には、希少金属からエネルギー資源まで驚くほど多くの資源が眠っていることが確認されつつある。世界潮流 として資源ナショナリズムが高まる中で、自国の資源にしっかりと眼を向け、技術力を注入して探査・採鉱していくことは、21世紀の日本の創生にとって極め て重要なのである。

特に、日本近海には海底火山活動領域が多数存在し、銅、鉛、亜鉛、金、銀などの金属資源の宝庫といわれる「熱水鉱床」が次々に発見され、海外企業に よる海底鉱区の申請もされつつある。また、コバルト、マンガンなどが豊富に含まれている鉱物資源、さらにはメタンハイドレードなどエネルギー資源の埋蔵も 確認されている。

日本も「海洋基本法」を2007年4月に成立させ「総合海洋政策本部」を内閣府に設置したが、従来の政策の寄せ集めではない新たな総合的海洋戦略の 構築とタイムリーな実行が問われている。経済セクターも強い問題意識を持って、結束・連携してコンソーシアム型のプロジェクトを具体化させるべき局面にあ る。戦略研究所もJAPIC(日本プロジェクト産業協議会)の共同研究に参画しており、海洋開発の可能性に挑戦していきたい。

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