2011年2月17日木曜日

環太平洋戦略的経済連携協定


環太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、元々2006年5月シンガポールブルネイチリニュージーランドの4カ国加盟で発効した経済連携協定。これらの国々が太平洋を囲む関係であった事からこの名が付けられ、環太平洋間での経済協定として始まった。加盟国間の経済制度、即ち、サービス、人の移動、基準認証などに於ける整合性を図り、貿易関税については例外品目を認めない形の関税撤廃をめざしている。環太平洋経済協定環太平洋連携協定環太平洋パートナーシップ協定とも呼ばれる。

2006年5月に4カ国加盟で発効した経済連携協定であったが、2010年10月よりアメリカ主導の下に急速に推し進められる事となり、TPPの転換点と見られ参加国間で協議を行い2011年のAPECまでの妥結を目標にしている。

また、交渉・締結国に日本を加えた10カ国のGDPを比較すると、その9割以上を日米2カ国が占めるため、実質は日米FTAだとの見方もある。

2015年までに協定国間の貿易において、工業品、農業品、金融サービスなどをはじめ、全品目の関税を10年以内に原則全面撤廃することにより、貿易自由化の実現を目指すFTA(自由貿易協定)を包括するEPA(経済連携協定)を目標としている。実質関税自主権の放棄である。

また農林漁業のダメージや食料安全保障の観点から、多くの道府県議会から反対の意見書提出や特別決議の採択が相次いでいる。

金融分野において、現時点の郵政改革関連法案は金融の非関税障壁となっており改正の必要があると米国が問題視しているという報道がある。これに対し 郵政・金融担当相 自見庄三郎は、報道などが先走っており、仮に日本がTPP交渉参加を表明した場合でも米国がいかなる要望をしてくるかは現段階で不明である と会見で説明している。

ほか、これまでのような外国企業の進出・投資規制や労働者の受け入れ制限が難しくなるといった指摘もある。

連携協定の対象

参加を目指す国家がまとまり交渉の作業部会を設けている。連携協定が目指す貿易に関する作業部会の主な議題は次の通り。

工業製品、農産物、繊維・衣料品の関税撤廃
金融、電子取引、電気通信などのサービス             緑:発効時の加盟国
公共事業や物品などの政府調達方法            オレンジ:発効後の加盟国
技術の特許、商標などの知的財産権
投資のルール
衛生・検疫
労働規制や環境規制の調和
貿易の技術的障害の解決
貿易紛争の解決
  

日本

2010年10月8日菅直人首相は自身が設置した新成長戦略実現会議[16]で、「米国、韓国、中国、ASEAN、豪州、ロシア等のアジア太平洋諸国と成長と繁栄を共有するための環境を整備するにあたっては、EPA・FTAが重要である。その一環として、環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築を視野に入れ、APEC首脳会議までに、我が国の経済連携の基本方針を決定する」という旨の総理指示を出した。

11月9日菅内閣は関係国との間での経済連携強化に向け「国を開く」という観点から、農業分野、人の移動分野および規制制度改革分野において、適切な国内改革を先行的に推進すると閣議決定を行った。与野党でも賛否両論の中核である農業分野は関係大臣からなる「農業構造改革推進本部(仮称)」を設置し、2011年6月をめどに基本方針を決定する。さらに情報収集を進めながら対応していく必要があり、国内の環境整備を早急に進めるとともに、関係国との協議を始めるとしている[19][20]

11月13日、9日の閣議決定に沿い菅直人首相はAPECにおいて「日本はまた再び大きく国を開くことを決断した」と述べ、交渉参加に向けて関係国との協議に着手することを正式に表明し、また「貿易の自由化いかんにかかわらず、このままでは日本の農業の展望は開けない」とも述べ農業の競争力強化への取り組みの決意も示した。

11月30日菅内閣は「食と農林漁業の再生推進本部」を発足し、首相、関係閣僚と民間有識者11人からなる「食と農林漁業の再生実現会議」を設置し初会合が開催された。この初会合ではこの協定(TPP)への参加と農業の改革や国際競争力強化の両立論や協定への参加を前提としないなど意見は分かれた。

12月3日、TPPへの参加表明9カ国が集まる第4回ニュージーランド・ラウンドに、まだ参加を決定していない日本はオブザーバー参加を打診していたものの、参加が断られたと大畠章宏経済産業相は記者会見で述べ、参加国はTPPに関する交渉で忙しく、個別接触も難しかったとしている。交渉会合終了後に、政府は参加各国を個別に訪問し内容を確認するとした。

12月9日経済産業省は「農業産業化支援ワーキンググループ」を立ち上げ、資源エネルギー庁中小企業庁や関係団体として日本経済団体連合会日本商工会議所全国商工会連合会日本貿易振興機構中小企業基盤整備機構をメンバーとして農林水産省とは違った立場から農業の産業化を支援する作業部会を始めた。

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