2011年2月17日木曜日

31あるがままに見る  稲盛和夫

澄んだ純真な心には真実が見えます。しかし利己心に満ちた心には、複雑な事象しか見えないのです。
たとえば、もし「この仕事からどんな利益があるだろうか」という私欲を抱いて仕事に取り掛かると、その欲望が単純な問題さえも複雑にしてしまうでしょう。私たちは往々にして、自分を良く見せようとしますが、そのような利己的な動機は問題の焦点をぼやけさせ、皆生湯を遅らせてしまうのです。
物事をあるがままに見ることのできる純粋な心を持つよう努力すべきです。利己的な欲望に駆られた目には単純な問題でさえ、非常に複雑に見えてしまうのです。
たとえ自分にとって不利益であったとしても、物事をあるがままに見て、自分に非があれば、間違いを認めなくてはなりません。純粋な目で物事を見始めるとき、突然問題が解け、簡単な解決方法が現れる事は良くあることです。ところが、自分自身が、快楽や贅沢を追い求めるような利己的な心から離れる事が出来なければ、自分の目を曇らせてしまい、物事の真実は曖昧なままになってしまうのです。
しかし、真実を見つめるだけでは充分ではありません。その真実を追い求め続けるためには、勇気を持つことも必要とされるのです。
物事をあるがままに見て、さらに自己犠牲を払ってでも成し遂げようという心構えできていれば、結局は克服できない問題など無いのです。

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