2012年11月1日木曜日

維新の会と石原慎太郎

石原慎太郎が都知事を突然に投げ出し、新党を作って第三極という連立の模索を始めるという。中身を見るまでもなく、彼の思想の背景は基本的に自民党と変わらない。それは国旗国歌の強要や、徴兵制度などを模索する橋下の維新の会も基本的に同じである。彼らは第三極などではない。単なる自民党という官僚と一体化した官僚社会主義者に過ぎない。 

この理由の背景は単純である。それは天皇制をどのように見ているかで決まる。自民党も維新の会も、そして恐らく石原新党も、間違いなく天皇は国家元首であると言い切るだろう。それが何を意味するかは察しがつく。このように天皇制を利用しようとする輩が考えている事はただ一つ、それは時代錯誤の富国強兵である。彼らには、明治維新で武士階級が成し遂げた改革の本当の意味を理解していないのである。単に日本という国が強い国になったという結果だけを見ているに過ぎない。そこには徹底的に明治維新で武士たちが考えていた、真の意味の国家観というものの理解が欠落しているのだ。現代の世界で、過去の太平洋戦争という間違った国家覇権主義を再燃させるような愚を繰り返すことは断じて許されない。 

明治維新とは、間違いなく西欧の巨大な武力と、その国力による「侵略される」という危機感から来た国家の変革である。科学技術というものによる発展によって得られた果実を日本も持たない限り、わが国が中国のように侵略されるという正しい歴史認識が背景にあった。そのために国家をまとめ、早急に西欧型の国に変えることで、西欧に負けない武力と国力の実現を目指したのである。天皇制は、その手段の一つとして国民という新しい概念の人々をまとめるために作られた宗教に過ぎない。そこで利用されてものは、江戸の後期に作り上げられた国学、特に平田篤胤による平田神道が採用されたのである。これにより国家神道というものが天皇を神として作られ、国民はその下にまとめられることで富国強兵のための制度が整えられてゆく。教育も、西欧の科学技術や制度の移入を目的とするものになり、英語、数学、法律が最も大事にされてゆく。精神的な問題は儒教にあった孝の原則を忠孝こそが第一というものに変えられ、天皇という国家への奉仕を基本にされたのである。もともと江戸時代には、武士を始めとしてその他の階級の者たちも、のちに西欧各国が驚くほど教育の程度は高く、識字率は世界で最も高いほどであったので、その後の日本は世界が驚くほど速い速度で西欧化に成功したのである。 

この背景を正しく認識せず、天皇制こそが日本であるかのような錯覚は完全に歴史の誤認である。天皇制は、古くから現憲法の規定のように、基本的に象徴に過ぎないものであったのである。なのに万世一系の天皇制は尊いものであるから、日本人はそのもとで一つにならなければならないなど笑止千万である。このように問題の本質さえ正しく見れない人間たちが、どれだけ集まったとしても烏合の衆に過ぎないだけでなく、誤った歴史観から又しても戦争というものを始める事になりかねない。本当の意味の明治維新とは何だったのか、それすら理解できない人間が新しい国を作れるなどあり得ないだろう。石原慎太郎も橋下というエセ改革者も、少しは自らの認識の浅さを恥じ、本当に日本が必要な事は何か、恥を晒す前に、今一度よーく考えるべきである。 

我が国が必要としている事は、正しい歴史認識に基づく日本というものの再発見である。明治以前に培われた、人間崇拝という国家神道ではない、本来の自然崇拝である原始神道、三国伝来の仏教の思想、そして江戸期の武士たちの基本となった儒教の思想などを正しく理解しなければならない。さらに西欧の思想をその根本的に理解するために、ユダヤ教やキリスト教、イスラム教などと共に、彼らの哲学史を正しく理解すべきである。現代と将来の地球に必要な思想を持ってこそ、はじめて日本人は世界中から尊敬される国民になれるのである。ただお金だけで世界と付き合うなどは愚の骨頂に過ぎない。精神を忘れた人間が尊敬されるわけがない。西欧至上主義からの脱却こそ、我々にいま求められている事である。 では我々は何を目指すのか?答えは仏教の思想にある。一人一人が神になるのだ。それこそが一神教というものの間違いを認識でき、我々が何たるものかを認識するものであると確信する。

2012年4月19日木曜日

岩手県出身の小沢一郎が語る新しい街つくり

戊辰戦争終結以来、東北地方は産業や教育・医療のインフラが西日本に比べて乏しい。そこを、今回の大震災が襲った。田中角栄の秘蔵っ子であった小沢一郎は、平成23年7月28日の自由報道協会主催の記者会見で、中長期的な復旧・復興を目指す東北地方の姿は、どのようにあるべきかについて語った。「当面の震災復興ということに限ればね、沿岸の街つくりをどうするか。僕の岩手でも2か所かな。明治かなんかの津波で全部、そのとき村長さんが住宅を高台に移したと。そこはまったく、ほとんど被害がないんですね。ですから、先人のやったそういうことも念頭に置きながら、新しい街つくりをしていくっちゅう事だろうと思います。それから、東北だけでなく、地域は同じことですけど、国土の平均的な発展を図っていくにはどうしたらいいかということ。その一つが地方分権、地域主体です。本当に地方が自立できる制度にすること。会社でもなんでも、なぜ東京に集まるのか。東京に来ないと、仕事にならないからです。最終的に霞が関のはんこをもらわないと、何もできないんですから。それを、地方でもできるようにすりゃあいい。簡単なんです。欧米では、世界的な大企業が地方に本社置いている。それで用が足りるから。地方は人柄も純朴で、土地や賃金も安いかもしれない。企業の進出の条件は非常に良い。根本を変える必要がある。当面、企業が行ったところに優先的に税金をまけるとか、そういうちっちゃな話じゃ駄目です。制度そのものを変えることで、全国が平均的な発展を期す。これが僕の基本的な考えです。

2012年4月8日日曜日

権力欲が権力を手にした時

今日の日本を支配しているのは、自民党でも民主党でもなく、この「敗戦後体制」なのです。マルクス主義者や左翼反体制派が喜びそうな言い方をすれば、戦後日本の「支配権力」は、国家でもなく、自民党でもなく、官僚でもなく、「敗戦後体制」そのものなのです。そして実は、もっと大事なことに、この「支配権力」は、我々の外にあって我々を支配しているのではなく、われわれ自身のうちにあるのです。「支配権力」は反体制左翼の妄想の中にあるのではなく、われわれの「精神」の内に住み着いている。それこそ大衆の中に巣くっているのです。戦後憲法、アメリカへの依存と中国への卑屈さや尊大さ、経済的利益中心の発想、そして歴史観や戦後的価値、これらはすべてわれわれの精神にかかわる問題です。「支配権力」はわれわれの内部に巣くっているのです。そこまで踏み込まなければ、今日の日本の「全般的衰退」は食い止められません。民主党が従来の自民党路線を改め、政策転換を行うというのならば、この「敗戦後体制「」まで踏み込まなければなりません。民主党が本当に「反権力」であり、本当に「反体制的」であるなら、対抗すべきはこの「敗戦後体制」だったのです。 しかしむろん彼らにはそんな問題意識はは全くない。それどころか、民主党自体が、(そのネーミングがアメリカの民主党を思わせるように)戦後民主主義という「敗戦後体制」そのものの落とし子だった。これでは、政権交代の意味は何の意味もないでしょう。

脱原発は、脱成長路線     佐伯啓思

「原発」をかりに現代の技術文明の象徴だとすれば、脱原発は、この技術文明そのものをどう考えるか、もっと言えば、技術文明に依存したわれわれの「幸福」をどう考えるのか、という問題へつながってくるからです。まずはっきりしていることは次のようなことでしょう。今ここで脱原発へむかったとしましょう。これは、長期にわたって電力使用レベルをおとすことであり、電力料金の値上げを容認することです。それは企業からすればコスト上昇によって国際競争力を失うことを意味し、消費者にとっては生活レベルを低下させることを意味する、ということです。太陽光などの代替エネルギーへの転換は急速にはできません。中国は今後も原発開発を推進するでしょうし、アメリカもそうでしょう。フランスは電力の80%を原発でまかなっていますし、これからでてくる新興国はこぞって原発依存になってくるでしょう。その中で日本は、高コストの電力によってグローバル競争をしなければならない。これは大変な不利な立場に置かれるのです。しかも火力への逆転は中東への原油依存をさらに高め、エネルギー自給の点でもますます不利になります。世界中が原発の方向を向いたのは、結局のところ、グローバルな市場競争のなかでは、出来るだけ低コストで豊かな電力供給を自給することが不可欠だとみなされたからです。この厳しい資源獲得競争のなかでは、化石燃料への依存はあまりに高コストだとみなされたのです。端的に言えば、グローバルな市場競争のさなかで経済成長を追求しようとすれば、出来るだけ資源制約の少ない安定したエネルギー供給が不可欠だったのです。こうして世界中の国がリスクを承知で原発のほうを向き始めた。

2012年2月15日水曜日

プライマリーバランス

基礎的財政収支。国の財政収支状況を表わす1つの指標。1)国の収入のうち、国債発行による収入(つまり国の借金)を除いたものから、2)国の支出のうち、過去に発行した国債の償還利払いを除いたものを比較した場合の収支バランスをいう。 つまり、国債発行に伴う収支は別として、税収入などの本来の収入で、国民のために使われるべき支出(地方交付税交付金、社会保障費、公共事業費、防衛費など)が、まかなわれているかどうかを示す。 プライマリーバランスが赤字の場合、新たに国債を発行することで借金を重ね、将来世代負担を転嫁することになる。

 国の歳入から歳出を引いた額が±0に近いほど均衡が保たれているということ。

グローバル・インバランス

グローバル・インバランスとは、世界的な経常収支不均衡のことである。アメリカが巨額の経常収支赤字を計上する一方で中国、日本、ドイツや 産油国などは経常収支黒字国となる構図が慢性化している。グローバル・インバランスの原因は貿易黒字国の内需が十分でないという議論もある。内需が不十分 であるためアメリカの消費に頼らざるを得ない、つまりアメリカ向けの輸出が増える結果、アメリカは慢性的な貿易収支赤字に陥る。アメリカの貿易収支赤字を 補填するため、経常収支黒字国からアメリカに資金が流入し、アメリカ国内では過剰流動性が発生し、住宅バブルにつながったというロジックである。2010 年に韓国で開催されたG20においてもグローバル・インバランスを是正するための各国の通貨政策について激しい議論がされ通貨安戦争の様相を呈した。グ ローバル・インバランス是正に関して、アメリカと中国の人民元を巡るかけひきも激しくなっている。

デフレ脱却

  政府、日銀がデフレ脱却に舵を取らない理由

1:政府や日銀の中にいる人たちは本当にバカで経済の理論が理解できない。そのためにずっとデタラメヲやっている。

2:通貨供給量を増やすと景気がいっぺんに良くなってしまい、「お前ら、今まで何やっていたんだ!」と世間から責任を追及されるので、それを避ける為に言い訳をして何もしない。

3:日銀や政府の中に外国のスパイがいて、デフレを長引かせて日本の経済停滞を招き、国力を落とそうとしている。

  どれかひとつが、正解かもしれないし、すべて正解かもしれない。   上念 司

2012年2月6日月曜日

Presidential Approval Rating

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・GOP  アメリカ合衆国共和党(Grand Old Party)の一般的な呼び方。

2012年2月1日水曜日

遺伝子組み換え作物

遺伝子組換え作物とは遺伝子組換え技術を用いた遺伝的性質の改変によって品種改良等が行われた作物のこと。
日本語ではいくつかの表記が混在使用されている状況である。「遺伝子組換作物反対派」は遺伝子組み換え作物厚生労働省などが遺伝子組換え作物食品衛生法では組換えDNA技術応用作物農林水産省では遺伝子組換え農産物などの表記を使うことが多い。
英語genetically modified organism からGM作物GMOとも呼ばれることがある。ただし、GMOは一般にはトランスジェニック動物なども含む遺伝子組換え生物を指し、作物に限らない。

GMO生産マップ(2005年)。オレンジ色の5カ国はGMOの95%を生産している。オレンジ色の斜線の国々はGMOを生産している。オレンジの点の国々は屋外での実験が許可されている。
遺伝子組換え作物とは、商業的に栽培されている植物(作物)に遺伝子操作を行い、新たな遺伝子を導入し発現させたり、内在性の遺伝子の発現を促進・抑制したりすることにより、新たな形質が付与された作物である。食用の遺伝子組換え作物では、除草剤耐 性、病害虫耐性、貯蔵性増大、などの生産者や流通業者にとっての利点を重視した遺伝子組換え作物の開発が先行し、こうして生み出された食品を第一世代遺伝 子組換え食品とよぶ。これに対し、食物の成分を改変することによって栄養価を高めたり、有害物質を減少させたり、医薬品として利用できたりするなど、消費 者にとっての直接的な利益を重視した遺伝子組換え作物の開発も近年活発となり、こうして生み出された食品を第二世代組換え食品という。
遺伝子組換え作物の作製には、開発過程の高効率化や安全性に関する懸念の払拭のために様々な手法が取り入れられている。たとえば、遺伝子の組換わった細胞(形質転換細胞)だけを選択するプロセスにおいて、かつては医療用、畜産用の抗生物質と選択マーカー遺伝子としてその抗生物質耐性遺伝子が用いられていた。現在ではそのような抗生物質耐性遺伝子が遺伝子組換え作物に残っていることが規制されており、それ以外の選択マーカー遺伝子を利用したり、選択マーカー遺伝子を除去したりといった技術が開発された。
遺伝子組換え作物の栽培国と作付面積は年々増加している。2010年現在、全世界の大豆作付け面積の81%、トウモロコシの29%、ワタの64%、カノーラの23%がGM作物である。限定的ではあるが2009年には日本も遺伝子組換え作物の栽培国となった。
日本の輸入穀類の半量は既に遺伝子組換え作物であるという推定もある。
遺伝子組換え作物の開発・利用について、賛成派と反対派の間に激しい論争がある。主な論点は、生態系などへの影響、経済問題、倫理面、食品としての安全性などである。生態系などへの影響、経済問題に関しては、単一の作物や品種を大規模に栽培すること(モノカルチャー) に伴う諸問題を遺伝子組換え作物特有の問題と混同して議論されることが多い。食品としての安全性に関して、特定の遺伝子組換え作物ではなく遺伝子組換え操 作自体が食品としての安全性を損なっているという主張がある。その様な主張の論拠となっている研究に対し、実験設計の不備やデータ解釈上の誤りを多数指摘 した上で科学的根拠が充分に伴っていないとする反論もある[1]


従来の育種学の延長で導入された1973年以降の遺伝子組換えの手法としては放射線照射・重イオン粒子線照射・変異原性薬品などの処理で染色体に 変異を導入した母本を多数作成し、そこから有用な形質を持つ個体を選抜する作業を重ねるという手順で行われた。最初のGMOが作成された後に科学者は自発 的なモラトリアムをその組換えDNA実験に求めて観測した。モラトリアムの1つの目標は新技術の状態、及び危険性を評価するアシロマ会議のための時間を提供することだった。生化学者の参入と新たなバイオテクノロジーの開発、遺伝子地図の作成などにより、作物となる植物に対して、「目的とする」形質をコードする遺伝子を導入したり、「問題がある」形質の遺伝子をノックアウトしたりすることができるようになった。米国では研究の進展とともに厳しいガイドラインが設けられた。そのようなガイドラインは後に米国国立衛生研究所や他国でも相当する機関により公表された。これらのガイドラインはGMOが今日まで規制される基礎を成している。
初めて市場に登場した遺伝子組換え作物と言われるのは、アンチセンスRNA法mRNAと相補的なRNAを作らせることで、標的となるタンパク質の生合成を抑える手法でRNAi法の一種)を用いて、ペクチンを分解する酵素ポリガラクツロナーゼの産生を抑制したトマトFlavr Savrである。他のトマトと比較して、熟しても果皮果肉が柔らかくなりにくいという特徴を持つ。


モンサント (企業)

モンサント社 (Monsanto Company,NYSE:MON) は、アメリカミズーリ州セントルイスに本社を持つ多国籍バイオ化学メーカー。
2005年の売上高は62億ドル、2008年の売上高は110億ドル、遺伝子組み換え作物の世界シェアは90%。研究費などでロックフェラー財団の援助を受けている。
また自社製の除草剤ラウンドアップに耐性をもつ遺伝子組み換え作物をセットで開発、販売している。バイオ化学メーカーとして世界屈指の規模と成長性を誇り、ビジネスウィーク誌が選ぶ2008年の世界で最も影響力があった10社にも選ばれた。

1901年ジョン・F・クイーニイにより創業。モンサントという社名は妻のオルガ・モンサントに由来する。1920年代頃から硫酸化学薬品の製造で業績を上げ、1940年代からはプラスチック合成繊維のメーカーとしても著名となった。
本社の存在するセントルイスには世界屈指の規模を誇るミズーリ植物園 があるが、モンサント社はここのハーバリウム(植物標本保存施設)の建設に多額の寄付をしていることでも知られている。
同社を有名にした商品の一つはPCBであり、アロクロール(Aroclor)の商品名で独占的に製造販売した。日本では、三菱化成(現三菱化学)との合弁子会社であった三菱モンサント化成(現在は三菱樹脂へ統合)がPCB製造メーカーの一つであった。また、農薬のメーカーとしても著名で、ベトナム戦争で使われた枯葉剤の製造メーカーでもある。この枯葉剤には不純物としてダイオキシン類が含まれており、後に問題となった。
除草剤ラウンドアップ開発し、近年ではラウンドアップに耐性をもつ様々な遺伝子組み換え作物(ラ ウンドアップ・レディー: Roundup Ready)を分子育種して、セットで販売している。なお、ラウンドアップの有効成分グリホサート(glyphosate)自体の特許は既に有効期限が切 れている。その他、雄性不稔や病害虫抵抗性やストレス抵抗性や成分改変の様々な組換え品種も開発している。モンサント社の遺伝子組換え作物の強引なシェア確保商法に対して欧州を中心に問題となっている。そのため、農業分野における米国の世界支配を支える企業という批判の的となることがある。

遺伝子組換え作物とモンサント

上述のように遺伝子組換え作物に力を入れている企業である。多くの種苗会社の他、新たな遺伝子組換え品種や技術を開発した企業を吸収したり、それらの企業に資本参加している。
自社の開発した遺伝子組換え作物の種子を販売するに当たり、次回作には自家採種したものを利用しないとの契約を栽培農家との間で結んでいることが多い。そのため、その契約に違反して遺伝子組換え作物の種子を自家採種し以後の作付けに利用した農家に対して、知的財産権侵害として多くの訴訟を起こしたことから注目を集め、一定の批判を受ける事態が生じた。
また、"いわゆる"「ターミネーター遺伝子」を組み込んだ組換え品種を開発した企業を買収した。"いわゆる"「ターミネーター遺伝子」や「ターミ ネーター技術」とは、遺伝子組換え作物に結実した種子を発芽できなくするものであり、農家による遺伝子組換え作物の自家採種を無効にしたり、遺伝子組換え 作物による遺伝子の拡散や遺伝子汚染を防ぐために開発されたものである。しかし、この技術の倫理性に疑問が投げかけられたために、これを用いた種子の流通 はまだ行われていない。
発展途上国の農民が同社の遺伝子組換え作物の種子に頼りきりになった場合、品種特性の多様性の低さによる病虫害や品種と栽培地帯とのミスマッチ、種子の値段の高さからかえって農民が困窮するという場合もある。
例えば、1999年に世界第3位の綿花生産国インドに進出したモンサントは、害虫に強く、収穫量と利益を増やすという宣伝文句で、GMO種子を販売した。ところが、この種子に組み込んでいた害虫駆除の遺伝子は、インドにいる害虫にはほとんど効果がなく、しかも2006年干ばつの影響もあって綿花栽培農家は打撃を受けたが、インドに限らず干ばつや環境変化により世界中で被害が出ている[1]と非難する向きもある。しかし、一方では実際にはBtワタの方が経済的な利益が多いという報告もある[2]。更に、The International Service for the Acquisition of Agri-biotech Applications (ISAAA)の新しい調査によると[3]、 現在ではインドの各地方に適した様々な遺伝子組換え品種が開発されており、インドにおいて2008年には綿花栽培面積の80%が、2009年には87% (約840万 ha)がBtワタになっている。2009年には560万人の小農がBtワタをインドで栽培している。遺伝子組換えワタを導入する以前と比較すると綿花栽培 に使用される農薬使用量の大幅な減少と単位面積当たりの収量の大幅な増加(2001-2002年では308 kg/ha、2009-2010年では568 kg/ha)によって、実際にはインドの農民に広く受け入れられている。

TPP、医療崩壊まねく 慎重に考える会が会合 情報不足に批判高まる

 民主党国会議員で構成する「TPPを慎重に考える会」は10月12日、日本医師会などを招き、医療、医薬品、公的保険制度などへの影響を議論した。
同会長の山田正彦元農相は「政府としても党としても早期に結論を出すというかたちで(TPP議論が)動き始めた。本当に慎重にやらないと大変なことになる。農業だけの問題ではない。医療や医薬品、国民皆保険は本当に守られるのか、今日はしっかり議論をしたい」。
 日本医師会の中川俊男副会長は「非常に危惧しているのは新自由主義的改革。市場原理を持ち込めばうまくいく、医療も例外ではないというもの。TPPは究極の規制改革だとわれわれは認識している」と危機感を表明。
 TPPによって株式会社の医療参入など規制緩和が実施されるようなことになれば、「民間企業や投資家にとって魅力的な市場が開ける。そうなれば本当にお金がなければ医療が受けられない時代がやってくる」と強調、国民皆保険制度が崩壊しかねないことを訴えた。
  日本歯科医師会の宮村一弘副会長は国民皆保険制度について「人と人との関わりのなかで作り上げてきたサービス。モノではないのでいったん壊れると元に戻る わけではない。国のあり方の問題であり、利益よりも価値として守るべきもの」などと強調した。そのほか日本薬剤師会の七海朗副会長らもTPP協定による医 薬品の安全性や薬価制度の自由化などへの懸念を表明した。

◆国民への情報開示が不可欠
 慎重に考える会の山田正彦会長はこれらの報告を受けて韓米FTAに盛り込まれた医療・医薬品分野の自由化について解説。国民皆保険制度のある韓国だが韓米FTAによって保険適用除外を認める規定が盛り込まれ、これに即して経済特区をつくり、通常の67倍もの治療費で診療を受ける大型病院の建設が進められる見込みだという。
 また、医薬品の認証制度も国から独立した機関が担う仕組みに変更され、米国との協議機関を設置、そこで認証が行われることになっているという。
 そのうえで山田氏は「TPPでは韓米FTAよりも高いレベルの協定をつくると米国は言っている」と指摘、医療分野にも大きな影響があり得ることを強調した。
 しかし、会合に出席した外務省の片上慶一経済外交担当大使は、TPP交渉の現状について医療が独立した交渉分野にはなっていないことや、混合診療や企業参入が議論になっているとは「承知していない」などと話した。
  この報告に対し福島伸亨衆院議員は「現在のTPP交渉参加9カ国のうち、混合診療規制や株式会社規制のある参加国はあるのか?」と追及、そうしたルールが ないから現在はその規制緩和が交渉事項にならないだけの話であって、日本が参加すれば交渉分野になり得ると強調し、TPP交渉で医療分野は対象になってい ないとする外務省の報告は「ミスリードだ」と批判した。
 そのほか片上大使が資料を提供せず口頭説明だけで済ませたことに批判が続出。「資料がない、情報がないでどうして交渉ができるのか」と追及の声が上がり、山田会長も資料の提供を強く求めた。
  会合終了後、山田会長は「国民に情報を開示しないと判断できない。金融、保険、郵政、公共調達についても外務省の情報開示を求める」と話したほか、交渉に は参加し国益に反するなら抜ければいいという意見があることに対して「外務省も言っているようにそれはありえない。とくに米国の議会承認を経てはじめて交 渉に入れるわけだから、簡単に抜けられるわけがない」と話し、「情報が何もないなかで決めるのは本当にけしからんと思う。民主党だけですでに190人が慎 重にやってもらわなくてはいけないという意見(署名)。がんばっていきたいと思っている」と述べ、今後も頻繁に会合を開く考えを示した。

なぜ日本は加盟したい? サルでもわかる

1.企業の海外進出が有利に
TPPは日本の一般的な市民にとって何一つメリットのない協定だ。
それがわかると、今度は別の疑問が浮かんでくる。
一体なんでそんなものに、日本は加盟しようとしているのか、ということだ。
TPPに加盟しよう!と一番勢い込んでいるのは「経団連(日本経済団体連合会)」という団体だ。
経団連は日本の大企業の集まりで、その会長はいわば財界のボスのようなもの。大企業に都合のいい政策を取るように政府に働きかけるのが役割だ。その経団連が「日本はTPPに加盟するべきだ」と執拗に政府に迫っている。
ちなみに経団連の現会長は住友化学会長。
副会長はたくさんいて、その所属企業は全日空、三井不動産、トヨタ自動車、東芝、新日鉄、日立、小松製作所、NTT、三菱商事、三菱東京UFJ銀行、丸紅、JR東日本、第一生命、三井住友フィナンシャルグループ、日本郵船、三菱重工。
こうした企業がTPP加盟に賛成する理由はいくつかあると思う。
たとえば、大手の製造業なら、いろんな材料や部品を外国から輸入しているが、その際に関税がなくなれば原料費が抑えられる。
また、
外国から安い賃金で働く労働者が入ってくれば、人件費を安く抑えられるかもしれない。
でも日本にいる限りは最低賃金の足かせは外せない。それよりもっとずっと人件費を安く抑える方法がある。それは海外へ工場を移転してしまうことだ。
ベトナムあたりに行けば、人件費はずーっと安い。しかもたいていの発展途上国では排水や排ガスなどの環境基準が、日本よりもかなり緩い。労働者を安く使えて、環境を汚しても、文句を言われない。これは企業にとってはオイシイ話だ。
そんなオイシイ海外進出を、よりスムーズにしてくれるのが、TPPなんだ。
TPPに加盟すると、進出してきた外国企業を、国内の企業とまったく同様に扱わなければならない(これを「内国民待遇」と呼ぶよ)。
例えば、 今ベトナムでは外資系企業と国内企業とで最低賃金が違う。もちろん外資系企業の方が高い賃金を払わなくちゃいけない。外資系企業はどうせ金持ちなんだから たくさん払ってくださいよ、ということだ。経済格差を考えたら、当然の発想ともいえる。それに国内企業を保護する意味合いもある。小さな発展途上国の企業 は当然規模も小さいだろうし、競争力も弱いだろう。それと外国企業を対等の条件で競わせたら、負けてしまう。だから外国企業には多少ハンデをつけておこ う、というわけだ。国が自国民や自国の企業を守るために働くのは、当然のことだからね。
ところが、こうした外資系企業と国内企業との間にハンデをつけるような政策は、TPPが成立したらもう許されない。「内国民待遇を犯している」「外資系企業の差別だ」として、政府が外資系企業に訴えられてしまうんだ。
だから、TPPに加盟しておけば、企業にとってはオイシイ海外進出が、ますますオイシクなるというわけだ。
外資系企業が「内国民待遇」というお題目のもとで、どんなことができるようになるか。NAFTA(北米自由貿易協定)で実際に起こった例を見てみよう。
アメリカの企業クラッド社は、メキシコで産業廃棄物を処理しようとした。環境の悪化を懸念する声が高まり、地元自治体は処理の許可を取り消した。するとメタルクラッド社は「不利益を被った」としてメキシコ政府を訴えた。
裁定は、メキシコ政府がクラッド社の「内国民待遇を犯した」ことを認め、1670万ドルもの賠償金の支払いを命じた……。     
       

何かあったら、なんでも「外資系企業への差別だ!」「内国民待遇を犯している!」と言ってゴネて、ゴリ押しできるようになる、ってことかな。
アメリカのコメディ映画で、会社をリストラされそうになった男性が突然「僕はゲイだ」「これはゲイへの差別だ!」と騒ぎ立ててクビになるのを免れる(本当はゲイじゃないのに)というのがあるんだけど、なんだかそれと似たようなムチャクチャさだね。
とにかく、企業は海外でそんなゴリ押しができるようになれば、何かトラブルが起こっても損をすることはないから安心だ。TPPは企業が海外展開する際に損をしないようなしくみを保証してくれるものなんだ。
つ いでに言っとくけど、外資系企業を差別するのはおかしい! とか、商売は対等な条件でさせろ! とか、そんなの、フェアじゃない! とか主張する人もいる んだけど、それはチャンチャラおかしい。繰り返すけど、国が自国民や自国の企業の利益を守るのは当然のこと。それこそが国の役目じゃないか。
大企業は自分たちに都合のいい考え方を人々に吹き込むために、「差別はよくないこと」「フェアであることが大事」「自由であることはよいこと」といった基本的な価値観を利用してうまく言葉を選んでくる。それにだまされちゃいけないよ。

2012年1月31日火曜日

TPPで我々の資産が危ない

TPP 米国の狙いはやっぱり267兆円の郵貯マネー 【政治・経済】 Share 784 2011年12月17日 掲載 下院公聴会でも、日本の財産を“米国のサイフ”にする魂胆丸出し  今月14日、米下院でTPPに関する公聴会が開かれたが、米国の重要ターゲットのひとつが日本郵政であることがハッキリした。出席者の多くが「日本郵政問題が重要事項」と発言。「農業や自動車ではなく、日本郵政が本丸じゃないか」(市場関係者)という見方まで飛び出している。  TPPは金融サービス分野も対象としている。「米国はTPPに乗じて、郵貯マネーを奪いにきている」(経済評論家・黒岩泰氏)のだ。  ゆうちょ銀行の預金残高は174兆6532億円(11年3月末)、簡易保険(かんぽ生命)の保険契約準備金は92兆8178億円。いわゆる郵貯マネーは267兆円を超えている。ひと頃の350兆円に比べれば減少したとはいえ、三菱UFJフィナンシャル・グループの124兆円をはるかにしのぐ規模だ。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストが言う。 「米国は日本の金融市場は閉鎖的だと主張し、開放を求めています。しかし具体的な要求が見えてきません。小泉・竹中チームが進めた完全民営化を実行しろということでしょう」  野田政権は郵政株式売却凍結法を成立させ、政府が3分の1超を保有する方向で動いている。米国はこれを「暗黙の政府保証が続く」「公正な競争条件ではない」と批判。TPPで、完全民営化を要求してくる。  だが、米国の本当の狙いは金融市場の開放などではない。国民の財産を根こそぎ奪う謀略だ。「日本郵政を上場させ、米金融機関を大株主として送り込む。日本郵政は現在、日本国債で多くを運用していますが、運用利回りの有利な米国債など外債に変更させる。米金融機関の増資に応じてもいいし、国際的なM&Aに投資させる手もある。大株主として次々と提案してくるでしょう。要するに郵貯マネーを米国のサイフにしたいのです」(黒岩氏)  庶民がコツコツと貯めてきた267兆円が、米国救済のために使われる。そんな馬鹿なことを許していいはずがない。だから野田無能シロウト政権によるTPP参加は、怖いのだ。

2012年1月29日日曜日

小沢一郎 インタビュー

小沢一郎 インタビュー http://www.wa-dan.com/article/2012/01/post-249.php 小沢一郎・独占インタビュー第2弾 「官邸は能天気だ!」(上) 消費増税の行方と解散時期 週刊朝日2012年01月27日号配信 最大の山場だった民主党の小沢一郎元代表(69)の被告人質問が終わり、陸山会裁判の実質的な審理は終了した。その直後、野田政権は発足からわずか4カ月で内閣改造を断行し、消費増税法案の年度内提出に向けて狙いを定めた。政局はにわかに動き出している。”剛腕”は何を考え、狙っているのか。被告人質問の夜、本誌の単独インタビューに答えた。 −−陸山会裁判の山場である小沢さん自身の被告人質問が、1月11日に終わりました。率直な感想を聞かせてください。  一連の捜査は最初からすべて、僕が「不正なカネ」を受け取ったということを大前提にして進められてきたので、僕自身も、この事件で逮捕・起訴された僕の元秘書3人も、この3年間、非常にしんどい思いをし、無念の思いできました。  それでも昨年12月の公判で、元東京地検特捜部の田代政弘検事による捜査報告書の「捏造」疑惑などが飛び出し、あらぬ疑いがいろんな形で晴れてきたので、まあ、忍耐、苦労のしがいがあったと思います。国民みんなが徐々にわかってきてくれたということで自分を慰めて、自己満足するしかないかな、という気持ちですね。(笑い) −−被告人質問では、裁判の焦点の一つとなっている「現金4億円」の原資について、(1)両親から相続した東京・湯島の自宅を14億〜15億円で売却し、現在の自宅を9億円前後で購入した残金(2)東京・上野の土地を相続し、売却した1億円前後(3)著書の印税8千万円などの収入計1億6千万〜7千万円−−などと具体的に説明しました。  すべて説明しましたよ。そもそも、検察が強制捜査をしても、不正は何もなかったんです。「不正なカネ」を取ったということを前提とした「見込み捜査」から始まっているから、何ともしようがないんですが、結果として、国民の皆さんもだんだんと真相がわかってきてくれているようだから、それで「よし」とする以外にないですね。 −−2日間の被告人質問で、話すべきことは話したという感触はありますか。  検察官役の指定弁護士もほかに聞くことがないからだろうけれど、同じことを何度も何度も聞いてくるんです。裁判官の質問にも答えましたが、政治資金収支報告書をいちいち細かく見ている国会議員なんていません。法律の趣旨に照らしてどうかと聞かれても、確かにそれがいいというわけじゃないけれど、現実問題として、収支報告書の中身を細かく把握する物理的・精神的余裕はない。  それに、これも裁判で何度も言いましたが、収支報告書は、1年間の資金の出入りを書くという非常に単純な作業です。普通の能力を持っている人間ならば誰でもできることで、それを秘書に任せているわけです。議員がすべてを検証するのは不可能だし、議員自身が検証しなければならないのなら、秘書は必要ないということになります。 −−小沢さんの被告人質問のさなか、永田町で浮上したのが内閣改造論です。野田政権は1月13日、発足からわずか4カ月で改造人事に踏み切りました。参院で問責決議を受けた小沢グループの一川保夫・前防衛相と山岡賢次・前消費者担当相兼国家公安委員長も交代しました。  グループがどうこうというよりも、問題は、4カ月で大臣を次々と代えざるを得ない状態になっていることです。ちょっと尋常ではないですね……。  それでも改造人事をするならば、国会運営の一環としてやらないと意味がないけれど、見ていると、ただ「代えたからいいでしょ」ということだけでしょう。  通常国会が始まる直前のこの時期に人事を行うというのも異例のことで、基本的にはおかしい。新年度の予算編成は昨年末に終わっているわけですからね。新大臣は、自分で予算編成をしていないから、国会で質問されても答えられない。そうなれば、野田首相がすべて代わりに答えなくちゃいけないことになる。  そういう筋道のおかしさもあるけれども、そもそも、いま野田さんが国会運営の全体像をどう見ているのかよくわかりません。そんな中で、消費増税だけは「やる、やる」と言い張っているんですから。(苦笑) ◆国会直前の改造、正直わからない◆ −−今回の改造は政権浮揚につながりますか。  人事と絡ませるのはいい手段ではありませんが、それでもあえて人を代えるなら、通常は、それに関連していろいろと国会運営を巡る与野党間の話し合いがあってしかるべきです。だけれど、そんなことをやっているフシもない。  本来の議会制民主主義では、どんなに与野党が対立しているときでも、国会対策委員会と議院運営委員会では、つながっているものです。いまの与野党間にそれがないとしたら、もう何を変えてもうまくいかないと思う。 −−今回の人事では、平野博文前国対委員長が、文部科学相になりました。  国会開会の直前に、まったく新しい人を国対委員長に起用するというのは、正直、ちょっと何を考えているのかわかりません。大臣を交代させ、ましてや国対委員長まで代えて、10日後に始まる国会をちゃんとやれと言っても、そう簡単にいくもんじゃない。そこまで考えが及ばないということなんでしょうかね。 −−野田首相が本当に消費増税法案を出すかどうかはともかく、少なくとも野党はこれから年度末に向けて予算関連法案を”人質”に衆院解散・総選挙への圧力を強めてきます。打開策はありますか。  野党は、赤字国債発行に必要な特例公債法案よりも、むしろ「交付国債」に反対するでしょう。将来の消費増税による返済を当て込んで、基礎年金の国庫負担財源2・6兆円をまかなうというものですが、あれは本来、赤字国債を出せばいい話です。それを、単に見かけ上の国債発行額を抑えるために、一般会計に計上しなくて済む交付国債にしようとしている。子供だましもいいところです。なぜこういうことをやるのかなあという気がします。  困った状況ですね。文字どおり、メルトダウンの感じになってきた。(苦笑) −−それが冗談に聞こえないところが、悲しいところです。小沢さんの裁判は4月に終わる予定ですが、そこまで政治状況が待ってくれますか。  メディアの最新の世論調査では、だいたい内閣支持率が30%、不支持率が50%と、20ポイントの差がついています。今後、支持率が20%程度になることもあり得る。そうなると大変ですよ。よく「支持率が1%になっても辞めない」というような話を聞きますが、実際はそうはいかないです。  こんな状況にもかかわらず、野田首相は3月末までに消費増税法案を出すと言っています。でも、法案提出にさえ党内は反対するでしょう。私自身、反対します。 −−やはり小沢さんは、消費税をいま上げることには反対ですか。  以前から言っていますが、賛成できません。やはり、順番が決定的に違う。われわれの国民との約束は、まず霞が関への権力集中をなくして、地域主権を進めることです。それに伴って補助金制度、特殊法人・独立行政法人、特別会計などを抜本改革する。そうすることによって国、地方を通じて徹底的に無駄なお金をなくし、「国民の生活が第一。」の政策を実行する財源を作る。それでもなお財源が足りなければ、次の任期中に税制改正をやりましょう、というのが民主党の約束した改革の順番です。 −−小沢さんはずっと、特別会計を含む国家予算の全面組み替えで財源は出ると言っていますが、いまからでもできますか。  それはできます。総理がその気になればね。でも、いままでと同じ方法で各省庁の要求どおりに予算編成をしていたら、財源なんて出るわけがありません。われわれの主張は、明治以来続く官僚主体の中央集権の国家機構を革命的に変えよう、ということなんです。だから、それに抵抗があるのは当たり前ですけれども、「官僚の壁」は突破しなければならない。 【(下)に続く】 http://www.wa-dan.com/article/2012/01/post-248.php 小沢一郎・独占インタビュー第2弾 「官邸は能天気だ!」(下) 消費増税の行方と解散時期 週刊朝日2012年01月27日号配信 ◆法案は通らない、そして解散に…◆ −−小沢さん自身は、今後の政局がどうなったらどう動くというシミュレーションはしているのですか。  考えていますよ。やはり外部要因としては、世論調査の影響が大きい。なぜかというと、いまの民主党議員はマスコミの世論調査結果に敏感に反応して、すぐに右往左往するでしょ。その時々の国民の雰囲気が党内に伝わり、「これでは、とてもダメだ」という話になってしまう。 −−前回のインタビューで小沢さんは「年内に衆院解散がある」と断言しましたが、こんな状況で野田首相は解散できますか。  年内に解散・総選挙はあると思います。だけれど、野田さんができるかどうかはわからない。  野田首相は「解散する」と脅しているけれど、野党が「解散しろ」と言っているんだから、脅しになっていない。あれは本当に不思議です。「解散するぞ」と言っても、誰も驚きません。野党としてはむしろ、解散してくれるならば、なおさら法案を通さないほうがいい、ということになるんです。 −−解散・総選挙があるとすれば、野田首相が代わったときということですか。  このまま野田首相が辞めざるを得ない状況になるかもしれませんが、そこで首相が代わっても、結局、選挙管理内閣ですね。「夏までに選挙します」とか約束して交代する以外ないんじゃないでしょうか。 −−その場合、選挙の争点は何になりますか。  恐らく消費増税法案は通らない。それで野田首相が代われば、民主党全体が消費増税反対ということになる(笑い)。やはり、これはわからないですね。政界再編の動きになるかもしれないし……。  いま解散して選挙になっても、民主党も自民党も過半数を取れません。票はほかに行ってしまう。  世論調査では、みんなの党の支持率が上がっていますし、橋下徹大阪市長の「大阪維新の会」が出てくれば、関西は維新の会に取られてしまう。地方では何だかんだ言っても自民党が強いし、浮動票がこなければ、民主党は勝てません。  民主党はとにかく、マニフェストの原点に戻らなければ、何を言っても、何をやっても、国民に信用されません。民主党に限らず、既成政党のすべてが信用されなくなっている。だから、まだ世間で中身がよく知られていない、みんなの党や維新の会に浮動票が行ってしまうんです。 −−どうするんですか。  僕は、みんながのほほんとしているのが不思議でならない。ヒステリックなくらい本気にならないといけないはずなんですが……。  このままでは、国民は政党不信、民主主義不信になってしまう。それがいちばん怖い。どこも過半数を取れないとなると、もう何も決められません。政権すら決まらない。悲劇ですよ。  現時点では、僕は民主党でやり直したいと思っています。ただ、いまのような体質、態勢で本当にやり直しがきくか、ということです。すべては、そこのところですね……。 −−小沢さんは1月3日に、地元・岩手の被災地に入りました。昨年3月に県庁を訪れましたが、被災地入りは震災後初めてでした。どのような印象でしたか。  予想どおりひどいものです。僕がかつて街頭演説したり戸別訪問したりした場所が、みんななくなっちゃっているんだもの。  今回は、岩手県の達増拓也知事が「正月は被災地の激励かたがた一緒に回ろう」というので行きました。僕が帰るなんて誰も予想していなかったから、みんなびっくりしていましたよ。地元は「帰ってくるわけねえ」と思っていますからね(笑い)。みんな僕の立場も、裁判を抱えていることもわかっていますから、お互い激励し合いました。「オレもがんばっから、みんなもがんばれい!」ってね。  震災直後から達増知事と打ち合わせながら手を打ってきましたが、現地の見舞いなどは若い人たちに任せて、僕は当面の応急手当てと制度を整えることに専念してきました。  今回、被災地を回って改めて強く感じたのは、やはり基本の制度を改革しないと、この国はダメだということです。一つは危機管理制度の確立。もう一つは中央集権から地域主権への転換です。財源と権限を地方に移すことです。そして、福島原発事故への対応ですね。やはり小手先ではダメです。根本から変えないとどうしようもない。  確かに、被災地には復興関連で多額のカネが入ってきていますが、基本的ビジョンが何もないままです。復興景気で恩恵を受けている人もいますが、被災地全体の、国民全体の暮らしをどうするか、という視点がありません。 ◆世界経済の危機、僕なら対策ある −−本来は国がしっかりやるべき話ですよね。  そりゃそうですよ。だからまず、この国の旧体制を打破しなくてはならない。まるで橋下市長みたいな主張になっちゃいますが(笑い)。実は彼とは、旧体制をぶっ壊さなきゃ新しい国民のためのシステムはできない、という考えでは共通しています。これは僕が20年近く前に『日本改造計画』を出したころから掲げている主張で、僕が言い出しっぺだと思っているんですけれどね。  本当は、大震災後の今が官僚の旧体制をぶっ壊すのにいい機会なんです。旧態依然の官僚機構をつぶして、官僚の能力をちゃんと発揮させる仕組みを作らないといけない。政治家がきちっとした理念を示し、具体策を示せば、官僚は絶対についてくる。僕は確信を持っています。だからこそ、政治家が官僚を納得させるだけの見識と能力をもっていなきゃいけないんです。  日本はもうおかしくなってしまっている。それなのに、官邸が能天気なのが不思議です。自民党政権時代の末期も首相が1年ごとに代わりましたが、それでも当時の首相たちは日本のことを一生懸命考えていたと思います。だけれども、民主党はなんか能天気なんですね。権力を楽しむのはいいけれど、実態は官僚任せになってしまっているのが問題です。 −−ユーロ危機を持ち出すまでもなく、世界経済は深刻な状況です。今のような政治の混沌は、この国の致命傷になりかねません。  本当にそう思います。致命傷だと思いますよ。だから、そのときに日本人が、民意がどう動くかですね。  ユーロ危機は、どうしようもないところまできています。米国だってどうなるかわからない。この3〜4月あたりは、大変なことになっているんじゃないか。そんな気がします。世界経済が混乱し、中国経済が減速して落ち込んでいったら、日本経済も大きなダメージを受ける。そんななかで政治が機能しないのでは、どうにもなりません。 −−対策はないんですか。  僕はいま、何かできる立場じゃないですから。 −−立場だったとすれば?  その立場になれば別ですよ。それは、いくらでも方法があります。日本には能力もお金もあるんですからね。思い切ってやれば、やりようはいくらでもありますよ。  (構成 本誌・鈴木毅) ※本文は内閣改造後に一部追加しました。

2012年1月28日土曜日

国民よ、納税者よ、いつまで騙されるつもりなのか

独法や特別会計の統廃合という言葉が飛び交っている。民主党が消費増税のために官僚 からの入れ知恵のままに、形だけの改革という言葉によるものを導入しようとしている。過去、土光臨調というものから始まり、行政改革という官僚機構の姿の 変更のための試みは何回もされている。その答えはどうなのか。現在の国の形が答えではないのか。その冷徹な事実を誰も見ようとしていない。全ての試みは失 敗したのだ。JRを含めた民営化など何の意味もない。基本的にこれらの官営企業は民営という名前のもとに依然として天下り先のまま何も変わっていない。む しろ監査というものも入らない官僚のための独占企業になっただけである。高速道路はどうなのか、NTTは、JTは、良く考えれば分かるだろう。

な ぜ変わる事ができないのか。国民はもっと考えなくてはならない。今度の民主党がやろうとしている独法などの統廃合で何が変わるのか。実質的には何も変わら ない。公務員給与も議員歳費も削減という言葉の裏で何がなされているのか。それは2年間だけの時限的な削減とかいうまやかしである。天下り先の統廃合や特 別会計の種類の統廃合をして何が変わるのか、よーく考えないとすぐに騙される。問題は予算が減るかなのである。来年度予算でこれらの統廃合の結果減るもの はあるのかを追求すればすぐに分かる。一銭も、びた一文も変わっていない。こんな事を何十年も続けているのだ。もう国民もいい加減にこんな茶番に騙されて はならない。国家というもので一番大事なことは予算と法律なのである。

何度も書いているように、法治国家という制度のもとでは主権の存在 は誰が法律を作る者なのかで決まるのだ。その意味ではこの国は閣法制度というもので官僚という行政府の職員が全てを作っているのだから「主権在民」ではな く「主権在官」なのである。法律によって予算が決められるのであるから、税金を支払う側への配分は常に少なく、税金で生活する公務員や政治家だけに配分が 多くなされるのは当たり前である。なぜなら政治家と官僚が一体化して国民に対して行政に関するあらゆる情報は開示されずに、都合のいい数字だけがマスコミ を通じて流されているからだ。国家の基本となるあらゆる情報が官僚側にあったら、一体、正しい行政とは何なのかを国民は一切判断できない。我々国民はあま りにも過去からの成り行きで基本を無視し続けてきている。国家の経済が過去のような右肩上がりでなくなっている今、税金がどのように使われなければならな いかは、過去とは比べられないような重要な問題になっている。税金は支払う側に還元されるために存在する。それでなければ払う意味はない。本質を考えて国 民は行動しよう。

せめて来年度予算についてもっと声をあげよう。官の人件費や経費、天下り先経由の補助金政策の見直し、それらの全てに対 して大幅な予算カットを求めよう。組織の統廃合なぞ何の意味もない。全体のパイを国民の方に多くすることこそが大事なのだ。これ以上、税金を使う側の勝手 にさせてはならない。その意味では次の選挙ではどのような者を国会議員として選ぶべきかもよく考えよう。選挙は近い。

2012年1月27日金曜日

政府の検討するTPPの意義

・国を開き、日本経済を活性化するための起爆剤。アジア太平洋の成長を取り込み。新成長戦略を実現。
 ・品目、分野によりプラス・マイナスはあるが、全体としてGDPは増加。
 ・「国を開く」という強い意志を示すメッセージ効果→日本に対する国際的な信用および関心の高まり。
 ・韓米FTAが発効すれば日本企業は米国市場で韓国企業より不利に。TPP参加により同等の競争条件を確保。(参考)日本がTPP、EUと中国とのEPAいずれも締結せず、韓国が米国・中国・EUとFTAを締結した場合、自動車、電気電子、機械産業の三業種について、2020年に日本産品が米国・中国・EUで市場シェアを失うことによる関連産業を含めた影響資産(経済産業省資産)
・TPPがアジア太平洋の新たな地域経済統合の枠組みとして発展していく可能性あり。また、TPPの下での貿易投資に関する先進的ルールが、今後、同地域の実質的モデルになる可能性あり。
 ・TPP交渉への参画を通じ、出来るだけわが国に有利なルールを作りつつ、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想の推進に貢献。横浜におけるAPEC首脳会議の主要な成果。
 ・逆にTPPに参加しなければ、日本抜きでアジア太平洋の実質的な貿易・投資のルール作りが進む可能性。
■TPPにおける交渉分野は、我が国のEPAと同様、市場アクセス分野のみならず、幅広い分野。
■我が国のEPAで独立した章を設けていない、「環境」、「労働」などの新規の分野も含まれる見込み。
■WTOドーハ・ラウンドを先取りし、日本企業の貿易・投資活動に有利なルールの策定に貢献しうる。(予測される分野)物品貿易(関税撤廃の例外を認める範囲、関税撤廃の経過期間等を含む)、原産地規則、貿易円滑化、動植物検疫、貿易救済措置、政府調達、知的財産権、競争政策、投資、サービス貿易、環境、労働、紛争解決等。
・アジア太平洋の地域経済統合枠組み作りを日米が主導する政治的意義大。対中戦略上も対EU関係でも重要。
・アジア太平洋地域の貿易・投資分野のルール作りにおいて主導的役割を果たすことにより、国際的な貿易・投資分野の交渉や、ルール作りにおける影響力を高め、交渉力の強化に貢献。

2012年1月18日水曜日

国際原子力機関(こくさいげんしりょくきかん、英: International Atomic Energy Agency、略称:IAEA)

国際原子力機関(こくさいげんしりょくきかん、: International Atomic Energy Agency、略称:IAEA)は、国際連合傘下の自治機関[2]であり、原子力の平和利用を促進し、軍事転用されないための保障措置の実施をする国際機関である。2005年度のノーベル平和賞を、当時の事務局長モハメド・エルバラダイとともに受賞した。

本部はオーストリアウィーンにある。またトロント東京の2ヶ所に地域事務所と、ニューヨークジュネーヴに連絡室がある。

創立の背景 [編集]

  • 1942年 アメリカ合衆国は1942年、エンリコ・フェルミらによって実験炉による核分裂連鎖反応に成功した。
  • 1945年 アメリカ合衆国が広島、長崎に原子爆弾を投下して約10万6000人を殺害、約11万人に負傷させた。
  • 1948年 アメリカが太平洋で核実験を行った。
  • 1949年 ソビエト連邦が核開発能力を備え、以後アメリカはより強力な水素爆弾の開発を進める。
  • 1952年 アメリカ合衆国が水素爆弾の最初の爆発実験に成功した。
核兵器の大型化が進んだが、大陸間弾道ミサイルではなく航空機による爆撃を想定していたため、大型化は核兵器の輸送を困難にした。このため、アメリカ合衆国は西側諸国への核兵器配備を進める必要があった。
  • 1953年12月8日アメリカ合衆国大統領ドワイト・D・アイゼンハワーによる国際連合総会演説「平和のための核」(Atoms for Peace)。「アメリカ合衆国が追求するのは、単なる、軍事目的での核の削減や廃絶にとどまらない。この兵器を兵士の手から取り上げるだけでは十分でな い。軍事の覆いをはぎとり、平和の技術に適合させるための方法を知る人々の手に渡されなければならない。」と主張した。この中で同盟・友好国に対する 100キログラムの濃縮ウラン供与と、機関創設を提唱。真の目的はソビエト連邦やイギリスに先行された核体制の主導権奪還だった。
  • 1954年 第五福竜丸事件を受け、アメリカ合衆国がさらなる核開発を進めていること、とくに表面的には核削減や廃絶を主張していたアメリカ合衆国が水素爆弾の実験を行っていることが明るみになると、国際的に反核運動が高まった。特にアメリカ合衆国が冷戦における地理的にも重要な国と位置づけていた日本での反核運動は、日本の共産化を危惧するアメリカ合衆国と、反米思想に傾倒させたいソビエト連邦双方によるプロパガンダ合戦に利用された。
このような背景のもと、同年、ソビエト連邦がオブニンスク発電所の運転を開始した。西側諸国、東側諸国それぞれの中で、国同士の原子力協定の締結の動きが進み、1954年7月には国連において原子力に関する国際会議、第一回ジュネーブ会議が開催された。
同時期に西側諸国では、イギリス、カナダ、フランス、ノルウェー、日本などで運転が開始されたが、西側諸国の中で最初に商用原子力発電所となった のはイギリスのコールダーホール一号炉を待たなければならなかった。当時、原子力発電所は経済的コストが高く、政府の支援なしでは建設運転することが困難 であったが、東西冷戦の中、核開発、核配備を行うことは特に重要であり、米国の同盟国への原子力技術の移転は積極的に行われた。
  • 1957年 国際原子力機関、米国主導で設立。

沿革 [編集]

1953年アメリカ合衆国大統領ドワイト・D・アイゼンハワーによる国際連合総会演説「平和のための核」を契機とし、1957年に創立された。

事務局長は、1981年から1997年までハンス・ブリックス、その後はモハメド・エルバラダイ。2009年12月より天野之弥が就任した。任期は4年。

2007年パラオの加盟により、加盟国は144ヶ国となった。

構成 [編集]

主な組織としては以下の三つが存在する。

  • 総会: General Conference
  • 理事会: Board of Governors
  • 事務局: Secretariat

総会 [編集]

総会(: General Conference)は全ての加盟国の代表者から成り、理事国の選出、新規加盟の承認、予算の承認などを行う。

理事会 [編集]

理事会(: Board of Governors)は35ヶ国の理事国によって構成され、機関の任務遂行を行う。

  • 指定理事国(designated members)
指定理事国は、前任の理事会が原子力に関する技術の最も進歩した13ヶ国を指定。日本は機関の創立当初から指定理事国である。
  • 選出理事国(elected members)
地域選出20カ国、付加選出2カ国が総会から選出される。
  • 地域選出
南アメリカ5カ国・西ヨーロッパ4カ国・東ヨーロッパ3カ国・アフリカ4カ国・中東アジア2カ国・東南アジア・オセアニア1カ国・極東1カ国の計20カ国
  • 付加選出
以下の2カ国を選出
  1. アフリカ・中東アジア・東南アジア・オセアニアから持ち回りで1カ国
  2. 中東アジア・東南アジア・オセアニア・極東から持ち回りで1カ国

事務局 [編集]

事務局長は事務局の長であり、機関の代表として、総会の承認を得て理事会が任命する。事務局長以下に以下の6局がある。各局長は事務次長を兼ねる。

  • 管理局 (Department of Management)
  • 技術協力局 (Department of Technical Cooperation)
  • 原子力局 (Department of Nuclear Energy)
  • 原子力安全保安局 (Department of Nuclear Safety and Security)
  • 原子核科学応用局 (Department of Nuclear Science and Applications)
  • 保障措置局 (Department of Safeguards)

加盟国 [編集]

指定理事国
その他加盟国

歴代事務局長 [編集]

国籍 氏名 在任期間
1 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 スターリング・コール 1957 - 1961
2 スウェーデンの旗 スウェーデン シグバルド・エクルンド 1961 - 1981
3 スウェーデンの旗 スウェーデン ハンス・ブリックス 1981 - 1997
4 エジプトの旗 エジプト モハメド・エルバラダイ 1997 - 2009
5 日本の旗 日本 天野之弥 2009 -

動向 [編集]

2003年11月の定例理事会では、イランの核開発問題が取り上げられ、イギリスフランスドイツ・日本が共同提案した非難決議案を全会一致で採択した。アメリカの主張する国際連合安全保障理事会への付託は見送られた。

創立以来、当機関の査察を拒否したと明確に当機関から認定されている国はイラクイラン朝鮮民主主義人民共和国の3カ国である[要出典]

なお一部のWebサイトにおいて、日本が2007年に発生した新潟県中越沖地震に際して柏崎刈羽原子力発電所についての「査察」を一時拒否したとする主張がなされているが、IAEAの公式文書等にはその旨の記述は存在していない。

当時の日本政府が一時受入れ見送りを表明したのは地震の影響等に関する技術的な「調査」であって(その後、新潟県知事らの要求を受けて受入れに方針転換し、実際に調査が行われた)、当該「調査」は、核拡散防止条約に密接に関連するIAEA憲章等 が定める「保障措置」に基づいて行われる核物質の軍事転用の可能性の有無等につき確認を行う「査察」とは明確に区別されているものである。上記の主張は、 この「調査」と「査察」とを混同、誤解した可能性が高いものであり、評価には慎重さを要する。なお、イラク・イラン・北朝鮮の3カ国は保障措置に基づく 「査察」を拒否している。

脚注 [編集]

参考文献 [編集]

  • Global power knowledge: science and technology in international affairs, John Krige, Kai-Henrik Barth, John Krige, Kai-Henrik Barth
  • Encyclopedia of Cold War Politics (Facts on File Library of World History), Facts on File; illustrated edition版 ,ISBN:978-0816035748
  • 『CIAと戦後日本』平凡社新書、2010年
  • 『原発・正力・CIA 機密文書で読む昭和裏面史』 新潮新書、2008年
  • 現代史スクープドキュメント NHK 1994年放送, http://video.google.com/videoplay?docid=-584388328765617134&hl=ja#

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]

国際原子力機関
International Atomic Energy Agency
(IAEA)
国際原子力機関の旗
IAEAの旗
UnocityIAEA persp.jpg
IAEA本部 (オーストリア ウィーン
団体種類 国際機関
設立 1957年
所在地 オーストリアの旗 オーストリア ウィーン
Wagramer Strasse 5, A-1400 Vienna, Austria
主要人物 日本の旗天野之弥(事務局長)
活動内容 原子力技術の平和利用の促進、軍事転用の監視・防止
ウェブサイト http://www.iaea.org/
テンプレートを表示
IAEA加盟国 (2009年4月1日):[1]
加盟国
脱退国(北朝鮮
非加盟国
地域(台湾西サハラ
*Approved states : IAEA総会ですでに加盟が承認されていて、必要な手続きさえ取れば加盟国になれる状態。

A Short History of the IAEA

"The IAEA was created in 1957 in response to the deep fears and expectations resulting from the discovery of nuclear energy. Its fortunes are uniquely geared to this controversial technology that can be used either as a weapon or as a practical and useful tool.

The Agency's genesis was US President Eisenhower's Atoms for Peace address to the General Assembly of the United Nations on 8 December 1953. These ideas helped to shape the IAEA Statute, which 81 nations unanimously approved in October 1956. The Statute outlines the three pillars of the Agency's work - nuclear verification and security, safety and technology transfer." (Excepts from the book, IAEA: The First Forty Years by David Fischer) Read More → [pdf]

IAEA General Conference

The General Conference is the highest policymaking body of the IAEA. It is composed of representatives of all Member States of the Agency. The General Conference meets annually, typically in September, to consider and approve the Agency's programme and budget and to decide on other matters brought before it by the Board of Governors, the Director General, or Member States.

The Annual IAEA General Conference

The 55th Annual Regular Session of the IAEA General Conference is set for 19-23 September 2011 at the Vienna International Centre (VIC) in Vienna, Austria, where high-ranking officials and representatives from IAEA Member States will consider a range of issues. More details about the agenda and sessions will become available over the coming weeks.

For further information on the IAEA General Conferences, past and forthcoming, please see the General Conference Archives.

Scientific Forum at the General Conference

A Scientific Forum will be convened in conjunction with the 55th General Conference - entitled Water Matters: Making a Difference with Nuclear Techniques - at the Vienna International Centre (VIC) in Vienna, the site of the General Conference. More »

Last year, at the 54th General Conference, the theme of the scientific forum was on Cancer in Developing Countries: Facing the Challenge. Read more →

Exhibitions

Member States and accredited organizations wishing to take part in the exhibition - usually set up as a side event to the General Conference - were kindly invited to submit their space requests in advance. For the 55th General Conference, the deadline for submission was 15 June 2011.

Relevant information and specifications shall be made available to the prospective exhibitors in due course. It should be noted that specific stands may not be automatically reserved every year by one Member State, but will be assigned by Conference Services on a rotational basis. For any additional information, please contact the IAEA Conference Services Section.

Registration

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いま原子力をどう位置付けるのか—より国家が責任を持つ体制を求めて

日本人は「核」と「原子力」を巧みに分けて考えてきた。英語でいえばNUCLEARなのだが、軍事における核(原子爆弾)と民生利用の原子力を分け ることで、被爆国の心理的抵抗を和らげようとしたのであろう。しかし本質的には核兵器と原子力発電は表裏一体であり、核(NUCLEAR)なのである。作 家村上春樹は、六月一〇日にバルセロナでのスピーチで3・11の悲劇に触れ、「福島の原発事故は、私たち日本人が歴史上体験する二度目の大きな核の被害で す」と述べ、「私たち日本人は核に『ノー』を叫び続けるべきだった」とし、「『効率』という安易な基準に流され、大事な道筋を見失ってしまった」と語っ た。注目すべきは、村上は軍事における核も原子力発電も「核」の裏表であることを鋭く認識し、この総体を全否定し、この魔物のような技術から距離をとるべ きだと主張していることである。

福島の現実を直視すれば、このスピーチは心に響くもので決して「非現実的な夢想家」とは思わない。確かに日本には、一九六〇年代敗戦からの 復興・成長の流れの中で、国を支えるエネルギー源に関し、被爆国として核(原子力発電)を拒否するという選択はあった。だが日本はそうしなかった。そし て、一九六六年にわずか一〇〇〇ドルだった一人当たりGDPを三五倍にし、人口を二八〇〇万人増やし、大衆消費社会を作った。原子力発電だけが豊かさを実 現したわけではないが、微妙に絡み合い相関していることも否定できない。今日、時代の空気は「反原発・脱原発」で、「再生可能エネルギーの重要性」を語れ ば拍手が起こるが話はそう簡単ではない。立ち止まり、戻るためにも思考のプロセスが必要なのだ。核というパンドラの箱を開いてしまった者には責任がある。

日本には五四基の原子力発電の原子炉が存在し、その発電総出力は四八八五万kWとなる。しかし、今回の震災を受けて止まっている福島、女川 をはじめ、政府の停止要請を受けて止まった浜岡や定期点検中のものもあり、現実に稼働しているものは一七基一五四九万kWにすぎない。原子力発電所は一 三ヵ月で定期点検に入るが、点検のため停止させた原子力発電所を再開するのも、現下の空気では地元の同意を得ることは容易ではなく、現実的には、長期にわ たり原発の総出力を三〇〇〇万kW台に戻すことは困難であろう。

菅首相就任直後の昨年六月、民主党政権は「エネルギー基本計画」を発表した。注目されたのは原子力の位置づけで、一昨年の政権交代におい て、「原子力発電には反対」を掲げる社民党を連立パートナーとしたため、これが懸案事項だった。結論は、驚くほどの「原子力重視」の、二〇三〇年の目標と して「電源供給の五割を原子力で」という数字になった。自民党中心の前政権でも原子力の比重は「電源供給の三割から四割」であったから、思い切って原子力 に舵を切ったことになる。理由は明確で、「エコロジーのための原子力」、つまり環境政策において「二〇二〇年までにCO2の排出量を九〇年比二五%削減す る」という目標を掲げたため、「CO2排出が少ない」という原子力に比重を置かざるをえなくなったのである。しかしながら福島の事態を受けて、「原子力で 電源供給の五割を目指す」などという目標は霧消したといえよう。新増設一四基どころか、既存原発の定期点検後の稼働も困難となると、最大限で「二〇三〇年 に電源供給の二割」というのが現実的目標値であろう。つまり、原子力は主力ではなく副次的・過渡的電源と位置づけざるをえないのが現実である。

それでも、「日本における原子力の平和利用技術基盤の蓄積は大事である」という論点に私はこだわりたい。本連載の五月号でもこのことに若干 言及したが、「原子力からの脱出」を特集テーマに掲げる本誌読者に、たとえ「脱原子」を目指すにせよ、基本認識とすべき日本にとっての原子力のもう一つの 論点を語っておきたい。

日本の国際責任―――原子力技術基盤を蓄積することの意義

原子力発電を推進してきた先進国において日本はユニークな立場にある。たとえば、「国連の五大国」とされる米、英、仏、露、中は、軍事としての核と 民生としての核を両輪のごとく展開している。これに対し日本は、「非核」という言葉で軍事としての核保有を断ち、平和利用としての原子力にのみ特化してき た例外的な存在である。たとえば、米国はスリーマイル島の事故以来三〇年、原発の増設にライセンスも出してこなかった。我々の常識では「そんな国がよく原 子力の技術基盤を維持できるな」と素朴な疑問を抱きがちだが、軍事分野で原子力の技術基盤を維持できるのである。原子力空母一〇隻は三〇万kW級原発を二 基搭載しており、原子力潜水艦七二隻は五万kW級の小型原発を一基搭載して動かしている。元々軍事目的で開発した「核」を民生転換したのが原子力発電だっ たわけで当然なのだが、日本の場合は、あくまで民生利用だけに特化して原子力の技術基盤の保持に向き合ってきた。

IAEAで、「世界の核査察予算の三割は日本で使っている」という話を聞かされ驚いた記憶がある。確かに、六カ所村の核燃料サイクルの現場 にはIAEAの専門家が三人常駐し、日本中の原子力発電所には「ブルーシール」が張られ、日本人が触れてはならない監視カメラが二四時間作動している。世 界は日本の核武装を疑っているのであり、万一日本が「北朝鮮が核保有するなら日本も」などという方向に向かえば、現在イランや北朝鮮に向けられている世界 の厳しい目線にさらされて孤立の道に迷い込みかねない。現在、日本は軍事としての核を保有していない国で唯一「核燃料サイクル」を国際社会で許容されてい る国である。「核廃絶」を目指す国際的核管理や原子力の平和利用における国際的制御のための中核国際機関としてのIAEAにおける日本の責任は重い。

視点を変えて、アジアをみれば、中国は原子力発電所を既に一三基一〇八〇万kW保有し、二〇三〇年には八〇基八〇〇〇万kWにする計画であ る。韓国も二四基、台湾も六基の原発保有国になろうとしている。福島の事態で見直しも予想されるが、近隣に原子力発電所が林立する可能性は否定できない。 福島が世界を緊張させているのは、海洋汚染を含め日本の国内で完結しないからである。万一、近隣で原発の事故が起これば、それは日本にも波及する問題とな る。その時、原子力の専門家や技術基盤が蓄積されていなければ、日本の役割は極めて低い。国際エネルギー戦略の世界で技術基盤も専門家も無い国が発言力を 持つことなど期待もできない。原子力の平和利用技術、とりわけ安全性に関わる技術は、日本にこそ蓄積されている形としたい。現実に核保有によって恫喝した り、「抑止力」だとする国が存在する世界で、日本が「核の廃絶」や「原子力の安全な平和利用」の国際的議論を主導しようにも、「核を軍事として保有しうる 技術基盤はあるが、決して作らない」という基軸がなければ、夢見る乙女のシュプレヒコールにすぎないのが、国際世界の現実なのである。

「開かれた原子力体制」から新たな「ベストミックス」へ

日本の立ち位置を熟慮して、原子力を一定の比重で維持するにせよ、現在の体制のままで進むことは問題である。原子力だけは極端なリスクを潜在させる エネルギー源であり、福島の教訓を整理して、より国家が責任をもって管理する体制に変えるべきであろう。具体的には、現在は九つの電力会社と日本原子力発 電、Jパワー(電源開発)にいう一一の会社で原子力発電事業を推進する国策民営体制をとっているが、原子力だけは電力事業者から分離統合し、一つの国営企 業によって管理運営する体制(国策統合会社)を志向すべきである。

主な理由は三点ある。一つは原子力技術者・専門家の分散という問題である。現在、原子力工学の卒業者が三・五万人、うち電力事業者に約九千 人が働いているが、それらを統括管理できる体制にはなっていない。とくに福島のように「多重防御」が破綻した緊急事態に対応する専門家による戦略体制を個 別電力事業者に期待することには限界がある。二つは個別の電力事業者では「自社内の効率性と経済性追求」という壁を乗り越えられないことである。たとえ ば、「廃炉」の判断にも安全投資にも経営とのバランスが優先されてしまう。三つは経営リスク限界を超えた賠償責任、福島の賠償スキーム議論を考えても、一 〇兆円を超す無限賠償責任が数十年に亘って発生する可能性を抱えた事業を、公開上場企業で抱えることができない。

日本も原子力安全委員会と経産省管下の保安院とを統合し、米国のNRC(原子力規制委員会)のようなものを作って規制を強化し民間会社体制 でやればいいと考える人も多いが、ペンタゴン(国防総省)が参画主導して、軍事と民生を一体化させた核管理を進める意思を内在させているNRCと日本の原 子力規制の行政体制は本質的に違う。日本はむしろフランス型の「EDF-AREVA体制」(国営による燃料確保・原子力発電・再処理などサイクル全般の統 合管理)を目指すべきであろう。

平和利用に徹している国だからこそ、国が責任をもって管理する体制で原子力と向き合うべきなのだ。ただし、国策統合会社などを作れば非効率 な「親方日の丸」の会社ができるだけとの批判には耳を傾ける必要がある。そこでIAEAとの信頼関係をベースに思い切り「開かれた原子力」という体制の確 立を主張しておきたい。経営陣が日本人だけである必要はない。また平和利用に徹して原子力発電を求める新興国の出資を招いてもよい。アジア広域の核燃料サ イクル(再処理)を共同で運営する体制を目指すことも検討されるべきだ。福島の苦渋の体験さえも的確に伝え共有する「開かれた原子力」を目指さなければ、 「原子力発電のシステム輸出」など期待すべくもない。もし将来、日本国民の合意が熟慮の決断で「脱原発」に向かうにしても、国家管理を強める体制に移行し ておくことは意味のある一歩であろう。

菅首相はG8サミットに際して「二〇二〇年代の早い段階で電源供給の二割を再生可能エネルギーで」という数値目標に言及した。ただしこの数 字は中途半端な目標値である。昨年のエネルギー基本計画でも「二〇三〇年に再生可能で二割」という目標を掲げており、それを一〇年前倒しした程度である。 無論、現在約九%にすぎないことを考えるとこの目標達成さえ容易ではないが、日本のエネルギー体系を変えざるをえない状況に直面していることを考えるなら ば、ドイツの目標並みの三割以上にする決意が必要であろう。 私は一九七〇年代のエモリー・ロビンスの「ソフト・エネルギー・パス」の頃から再生可能エネルギーの探求し、オバマの「グリーン・ニューディール」につい ては共著(NHK出版、二〇〇九年)を出した。「小型分散にすぎない」と軽視されてきた再生可能エネルギーも情報ネットワーク技術革命を背景にして「ス マート・グリッド(次世代双方向送電網)」による体系的運用が可能になりつつあり、過渡的なコスト高を乗り超えれば地平が拓けると思う。化石燃料の効率的 利用、省エネルギー技術の進化を含め、原子力比重の低減を視界に入れた新たな「ベストミックス戦略」が構想されねばならない。

関東大震災直後『東洋経済』一九二三年一〇月一日号の社説に石橋湛山は「此の経験を科学化せよ」と題する論稿を寄せている。想像を絶する被 災を前にして、恐怖と不安に駆りたてられた情緒的議論が勢いを得る中で、石橋は理性的政策論をもって事態と向き合おうとしていた。理性と技術こそが希望と いう意味において、私もこの視座を共有したい。