2012年2月15日水曜日

プライマリーバランス

基礎的財政収支。国の財政収支状況を表わす1つの指標。1)国の収入のうち、国債発行による収入(つまり国の借金)を除いたものから、2)国の支出のうち、過去に発行した国債の償還利払いを除いたものを比較した場合の収支バランスをいう。 つまり、国債発行に伴う収支は別として、税収入などの本来の収入で、国民のために使われるべき支出(地方交付税交付金、社会保障費、公共事業費、防衛費など)が、まかなわれているかどうかを示す。 プライマリーバランスが赤字の場合、新たに国債を発行することで借金を重ね、将来世代負担を転嫁することになる。

 国の歳入から歳出を引いた額が±0に近いほど均衡が保たれているということ。

グローバル・インバランス

グローバル・インバランスとは、世界的な経常収支不均衡のことである。アメリカが巨額の経常収支赤字を計上する一方で中国、日本、ドイツや 産油国などは経常収支黒字国となる構図が慢性化している。グローバル・インバランスの原因は貿易黒字国の内需が十分でないという議論もある。内需が不十分 であるためアメリカの消費に頼らざるを得ない、つまりアメリカ向けの輸出が増える結果、アメリカは慢性的な貿易収支赤字に陥る。アメリカの貿易収支赤字を 補填するため、経常収支黒字国からアメリカに資金が流入し、アメリカ国内では過剰流動性が発生し、住宅バブルにつながったというロジックである。2010 年に韓国で開催されたG20においてもグローバル・インバランスを是正するための各国の通貨政策について激しい議論がされ通貨安戦争の様相を呈した。グ ローバル・インバランス是正に関して、アメリカと中国の人民元を巡るかけひきも激しくなっている。

デフレ脱却

  政府、日銀がデフレ脱却に舵を取らない理由

1:政府や日銀の中にいる人たちは本当にバカで経済の理論が理解できない。そのためにずっとデタラメヲやっている。

2:通貨供給量を増やすと景気がいっぺんに良くなってしまい、「お前ら、今まで何やっていたんだ!」と世間から責任を追及されるので、それを避ける為に言い訳をして何もしない。

3:日銀や政府の中に外国のスパイがいて、デフレを長引かせて日本の経済停滞を招き、国力を落とそうとしている。

  どれかひとつが、正解かもしれないし、すべて正解かもしれない。   上念 司

2012年2月6日月曜日

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・GOP  アメリカ合衆国共和党(Grand Old Party)の一般的な呼び方。

2012年2月1日水曜日

遺伝子組み換え作物

遺伝子組換え作物とは遺伝子組換え技術を用いた遺伝的性質の改変によって品種改良等が行われた作物のこと。
日本語ではいくつかの表記が混在使用されている状況である。「遺伝子組換作物反対派」は遺伝子組み換え作物厚生労働省などが遺伝子組換え作物食品衛生法では組換えDNA技術応用作物農林水産省では遺伝子組換え農産物などの表記を使うことが多い。
英語genetically modified organism からGM作物GMOとも呼ばれることがある。ただし、GMOは一般にはトランスジェニック動物なども含む遺伝子組換え生物を指し、作物に限らない。

GMO生産マップ(2005年)。オレンジ色の5カ国はGMOの95%を生産している。オレンジ色の斜線の国々はGMOを生産している。オレンジの点の国々は屋外での実験が許可されている。
遺伝子組換え作物とは、商業的に栽培されている植物(作物)に遺伝子操作を行い、新たな遺伝子を導入し発現させたり、内在性の遺伝子の発現を促進・抑制したりすることにより、新たな形質が付与された作物である。食用の遺伝子組換え作物では、除草剤耐 性、病害虫耐性、貯蔵性増大、などの生産者や流通業者にとっての利点を重視した遺伝子組換え作物の開発が先行し、こうして生み出された食品を第一世代遺伝 子組換え食品とよぶ。これに対し、食物の成分を改変することによって栄養価を高めたり、有害物質を減少させたり、医薬品として利用できたりするなど、消費 者にとっての直接的な利益を重視した遺伝子組換え作物の開発も近年活発となり、こうして生み出された食品を第二世代組換え食品という。
遺伝子組換え作物の作製には、開発過程の高効率化や安全性に関する懸念の払拭のために様々な手法が取り入れられている。たとえば、遺伝子の組換わった細胞(形質転換細胞)だけを選択するプロセスにおいて、かつては医療用、畜産用の抗生物質と選択マーカー遺伝子としてその抗生物質耐性遺伝子が用いられていた。現在ではそのような抗生物質耐性遺伝子が遺伝子組換え作物に残っていることが規制されており、それ以外の選択マーカー遺伝子を利用したり、選択マーカー遺伝子を除去したりといった技術が開発された。
遺伝子組換え作物の栽培国と作付面積は年々増加している。2010年現在、全世界の大豆作付け面積の81%、トウモロコシの29%、ワタの64%、カノーラの23%がGM作物である。限定的ではあるが2009年には日本も遺伝子組換え作物の栽培国となった。
日本の輸入穀類の半量は既に遺伝子組換え作物であるという推定もある。
遺伝子組換え作物の開発・利用について、賛成派と反対派の間に激しい論争がある。主な論点は、生態系などへの影響、経済問題、倫理面、食品としての安全性などである。生態系などへの影響、経済問題に関しては、単一の作物や品種を大規模に栽培すること(モノカルチャー) に伴う諸問題を遺伝子組換え作物特有の問題と混同して議論されることが多い。食品としての安全性に関して、特定の遺伝子組換え作物ではなく遺伝子組換え操 作自体が食品としての安全性を損なっているという主張がある。その様な主張の論拠となっている研究に対し、実験設計の不備やデータ解釈上の誤りを多数指摘 した上で科学的根拠が充分に伴っていないとする反論もある[1]


従来の育種学の延長で導入された1973年以降の遺伝子組換えの手法としては放射線照射・重イオン粒子線照射・変異原性薬品などの処理で染色体に 変異を導入した母本を多数作成し、そこから有用な形質を持つ個体を選抜する作業を重ねるという手順で行われた。最初のGMOが作成された後に科学者は自発 的なモラトリアムをその組換えDNA実験に求めて観測した。モラトリアムの1つの目標は新技術の状態、及び危険性を評価するアシロマ会議のための時間を提供することだった。生化学者の参入と新たなバイオテクノロジーの開発、遺伝子地図の作成などにより、作物となる植物に対して、「目的とする」形質をコードする遺伝子を導入したり、「問題がある」形質の遺伝子をノックアウトしたりすることができるようになった。米国では研究の進展とともに厳しいガイドラインが設けられた。そのようなガイドラインは後に米国国立衛生研究所や他国でも相当する機関により公表された。これらのガイドラインはGMOが今日まで規制される基礎を成している。
初めて市場に登場した遺伝子組換え作物と言われるのは、アンチセンスRNA法mRNAと相補的なRNAを作らせることで、標的となるタンパク質の生合成を抑える手法でRNAi法の一種)を用いて、ペクチンを分解する酵素ポリガラクツロナーゼの産生を抑制したトマトFlavr Savrである。他のトマトと比較して、熟しても果皮果肉が柔らかくなりにくいという特徴を持つ。


モンサント (企業)

モンサント社 (Monsanto Company,NYSE:MON) は、アメリカミズーリ州セントルイスに本社を持つ多国籍バイオ化学メーカー。
2005年の売上高は62億ドル、2008年の売上高は110億ドル、遺伝子組み換え作物の世界シェアは90%。研究費などでロックフェラー財団の援助を受けている。
また自社製の除草剤ラウンドアップに耐性をもつ遺伝子組み換え作物をセットで開発、販売している。バイオ化学メーカーとして世界屈指の規模と成長性を誇り、ビジネスウィーク誌が選ぶ2008年の世界で最も影響力があった10社にも選ばれた。

1901年ジョン・F・クイーニイにより創業。モンサントという社名は妻のオルガ・モンサントに由来する。1920年代頃から硫酸化学薬品の製造で業績を上げ、1940年代からはプラスチック合成繊維のメーカーとしても著名となった。
本社の存在するセントルイスには世界屈指の規模を誇るミズーリ植物園 があるが、モンサント社はここのハーバリウム(植物標本保存施設)の建設に多額の寄付をしていることでも知られている。
同社を有名にした商品の一つはPCBであり、アロクロール(Aroclor)の商品名で独占的に製造販売した。日本では、三菱化成(現三菱化学)との合弁子会社であった三菱モンサント化成(現在は三菱樹脂へ統合)がPCB製造メーカーの一つであった。また、農薬のメーカーとしても著名で、ベトナム戦争で使われた枯葉剤の製造メーカーでもある。この枯葉剤には不純物としてダイオキシン類が含まれており、後に問題となった。
除草剤ラウンドアップ開発し、近年ではラウンドアップに耐性をもつ様々な遺伝子組み換え作物(ラ ウンドアップ・レディー: Roundup Ready)を分子育種して、セットで販売している。なお、ラウンドアップの有効成分グリホサート(glyphosate)自体の特許は既に有効期限が切 れている。その他、雄性不稔や病害虫抵抗性やストレス抵抗性や成分改変の様々な組換え品種も開発している。モンサント社の遺伝子組換え作物の強引なシェア確保商法に対して欧州を中心に問題となっている。そのため、農業分野における米国の世界支配を支える企業という批判の的となることがある。

遺伝子組換え作物とモンサント

上述のように遺伝子組換え作物に力を入れている企業である。多くの種苗会社の他、新たな遺伝子組換え品種や技術を開発した企業を吸収したり、それらの企業に資本参加している。
自社の開発した遺伝子組換え作物の種子を販売するに当たり、次回作には自家採種したものを利用しないとの契約を栽培農家との間で結んでいることが多い。そのため、その契約に違反して遺伝子組換え作物の種子を自家採種し以後の作付けに利用した農家に対して、知的財産権侵害として多くの訴訟を起こしたことから注目を集め、一定の批判を受ける事態が生じた。
また、"いわゆる"「ターミネーター遺伝子」を組み込んだ組換え品種を開発した企業を買収した。"いわゆる"「ターミネーター遺伝子」や「ターミ ネーター技術」とは、遺伝子組換え作物に結実した種子を発芽できなくするものであり、農家による遺伝子組換え作物の自家採種を無効にしたり、遺伝子組換え 作物による遺伝子の拡散や遺伝子汚染を防ぐために開発されたものである。しかし、この技術の倫理性に疑問が投げかけられたために、これを用いた種子の流通 はまだ行われていない。
発展途上国の農民が同社の遺伝子組換え作物の種子に頼りきりになった場合、品種特性の多様性の低さによる病虫害や品種と栽培地帯とのミスマッチ、種子の値段の高さからかえって農民が困窮するという場合もある。
例えば、1999年に世界第3位の綿花生産国インドに進出したモンサントは、害虫に強く、収穫量と利益を増やすという宣伝文句で、GMO種子を販売した。ところが、この種子に組み込んでいた害虫駆除の遺伝子は、インドにいる害虫にはほとんど効果がなく、しかも2006年干ばつの影響もあって綿花栽培農家は打撃を受けたが、インドに限らず干ばつや環境変化により世界中で被害が出ている[1]と非難する向きもある。しかし、一方では実際にはBtワタの方が経済的な利益が多いという報告もある[2]。更に、The International Service for the Acquisition of Agri-biotech Applications (ISAAA)の新しい調査によると[3]、 現在ではインドの各地方に適した様々な遺伝子組換え品種が開発されており、インドにおいて2008年には綿花栽培面積の80%が、2009年には87% (約840万 ha)がBtワタになっている。2009年には560万人の小農がBtワタをインドで栽培している。遺伝子組換えワタを導入する以前と比較すると綿花栽培 に使用される農薬使用量の大幅な減少と単位面積当たりの収量の大幅な増加(2001-2002年では308 kg/ha、2009-2010年では568 kg/ha)によって、実際にはインドの農民に広く受け入れられている。

TPP、医療崩壊まねく 慎重に考える会が会合 情報不足に批判高まる

 民主党国会議員で構成する「TPPを慎重に考える会」は10月12日、日本医師会などを招き、医療、医薬品、公的保険制度などへの影響を議論した。
同会長の山田正彦元農相は「政府としても党としても早期に結論を出すというかたちで(TPP議論が)動き始めた。本当に慎重にやらないと大変なことになる。農業だけの問題ではない。医療や医薬品、国民皆保険は本当に守られるのか、今日はしっかり議論をしたい」。
 日本医師会の中川俊男副会長は「非常に危惧しているのは新自由主義的改革。市場原理を持ち込めばうまくいく、医療も例外ではないというもの。TPPは究極の規制改革だとわれわれは認識している」と危機感を表明。
 TPPによって株式会社の医療参入など規制緩和が実施されるようなことになれば、「民間企業や投資家にとって魅力的な市場が開ける。そうなれば本当にお金がなければ医療が受けられない時代がやってくる」と強調、国民皆保険制度が崩壊しかねないことを訴えた。
  日本歯科医師会の宮村一弘副会長は国民皆保険制度について「人と人との関わりのなかで作り上げてきたサービス。モノではないのでいったん壊れると元に戻る わけではない。国のあり方の問題であり、利益よりも価値として守るべきもの」などと強調した。そのほか日本薬剤師会の七海朗副会長らもTPP協定による医 薬品の安全性や薬価制度の自由化などへの懸念を表明した。

◆国民への情報開示が不可欠
 慎重に考える会の山田正彦会長はこれらの報告を受けて韓米FTAに盛り込まれた医療・医薬品分野の自由化について解説。国民皆保険制度のある韓国だが韓米FTAによって保険適用除外を認める規定が盛り込まれ、これに即して経済特区をつくり、通常の67倍もの治療費で診療を受ける大型病院の建設が進められる見込みだという。
 また、医薬品の認証制度も国から独立した機関が担う仕組みに変更され、米国との協議機関を設置、そこで認証が行われることになっているという。
 そのうえで山田氏は「TPPでは韓米FTAよりも高いレベルの協定をつくると米国は言っている」と指摘、医療分野にも大きな影響があり得ることを強調した。
 しかし、会合に出席した外務省の片上慶一経済外交担当大使は、TPP交渉の現状について医療が独立した交渉分野にはなっていないことや、混合診療や企業参入が議論になっているとは「承知していない」などと話した。
  この報告に対し福島伸亨衆院議員は「現在のTPP交渉参加9カ国のうち、混合診療規制や株式会社規制のある参加国はあるのか?」と追及、そうしたルールが ないから現在はその規制緩和が交渉事項にならないだけの話であって、日本が参加すれば交渉分野になり得ると強調し、TPP交渉で医療分野は対象になってい ないとする外務省の報告は「ミスリードだ」と批判した。
 そのほか片上大使が資料を提供せず口頭説明だけで済ませたことに批判が続出。「資料がない、情報がないでどうして交渉ができるのか」と追及の声が上がり、山田会長も資料の提供を強く求めた。
  会合終了後、山田会長は「国民に情報を開示しないと判断できない。金融、保険、郵政、公共調達についても外務省の情報開示を求める」と話したほか、交渉に は参加し国益に反するなら抜ければいいという意見があることに対して「外務省も言っているようにそれはありえない。とくに米国の議会承認を経てはじめて交 渉に入れるわけだから、簡単に抜けられるわけがない」と話し、「情報が何もないなかで決めるのは本当にけしからんと思う。民主党だけですでに190人が慎 重にやってもらわなくてはいけないという意見(署名)。がんばっていきたいと思っている」と述べ、今後も頻繁に会合を開く考えを示した。

なぜ日本は加盟したい? サルでもわかる

1.企業の海外進出が有利に
TPPは日本の一般的な市民にとって何一つメリットのない協定だ。
それがわかると、今度は別の疑問が浮かんでくる。
一体なんでそんなものに、日本は加盟しようとしているのか、ということだ。
TPPに加盟しよう!と一番勢い込んでいるのは「経団連(日本経済団体連合会)」という団体だ。
経団連は日本の大企業の集まりで、その会長はいわば財界のボスのようなもの。大企業に都合のいい政策を取るように政府に働きかけるのが役割だ。その経団連が「日本はTPPに加盟するべきだ」と執拗に政府に迫っている。
ちなみに経団連の現会長は住友化学会長。
副会長はたくさんいて、その所属企業は全日空、三井不動産、トヨタ自動車、東芝、新日鉄、日立、小松製作所、NTT、三菱商事、三菱東京UFJ銀行、丸紅、JR東日本、第一生命、三井住友フィナンシャルグループ、日本郵船、三菱重工。
こうした企業がTPP加盟に賛成する理由はいくつかあると思う。
たとえば、大手の製造業なら、いろんな材料や部品を外国から輸入しているが、その際に関税がなくなれば原料費が抑えられる。
また、
外国から安い賃金で働く労働者が入ってくれば、人件費を安く抑えられるかもしれない。
でも日本にいる限りは最低賃金の足かせは外せない。それよりもっとずっと人件費を安く抑える方法がある。それは海外へ工場を移転してしまうことだ。
ベトナムあたりに行けば、人件費はずーっと安い。しかもたいていの発展途上国では排水や排ガスなどの環境基準が、日本よりもかなり緩い。労働者を安く使えて、環境を汚しても、文句を言われない。これは企業にとってはオイシイ話だ。
そんなオイシイ海外進出を、よりスムーズにしてくれるのが、TPPなんだ。
TPPに加盟すると、進出してきた外国企業を、国内の企業とまったく同様に扱わなければならない(これを「内国民待遇」と呼ぶよ)。
例えば、 今ベトナムでは外資系企業と国内企業とで最低賃金が違う。もちろん外資系企業の方が高い賃金を払わなくちゃいけない。外資系企業はどうせ金持ちなんだから たくさん払ってくださいよ、ということだ。経済格差を考えたら、当然の発想ともいえる。それに国内企業を保護する意味合いもある。小さな発展途上国の企業 は当然規模も小さいだろうし、競争力も弱いだろう。それと外国企業を対等の条件で競わせたら、負けてしまう。だから外国企業には多少ハンデをつけておこ う、というわけだ。国が自国民や自国の企業を守るために働くのは、当然のことだからね。
ところが、こうした外資系企業と国内企業との間にハンデをつけるような政策は、TPPが成立したらもう許されない。「内国民待遇を犯している」「外資系企業の差別だ」として、政府が外資系企業に訴えられてしまうんだ。
だから、TPPに加盟しておけば、企業にとってはオイシイ海外進出が、ますますオイシクなるというわけだ。
外資系企業が「内国民待遇」というお題目のもとで、どんなことができるようになるか。NAFTA(北米自由貿易協定)で実際に起こった例を見てみよう。
アメリカの企業クラッド社は、メキシコで産業廃棄物を処理しようとした。環境の悪化を懸念する声が高まり、地元自治体は処理の許可を取り消した。するとメタルクラッド社は「不利益を被った」としてメキシコ政府を訴えた。
裁定は、メキシコ政府がクラッド社の「内国民待遇を犯した」ことを認め、1670万ドルもの賠償金の支払いを命じた……。     
       

何かあったら、なんでも「外資系企業への差別だ!」「内国民待遇を犯している!」と言ってゴネて、ゴリ押しできるようになる、ってことかな。
アメリカのコメディ映画で、会社をリストラされそうになった男性が突然「僕はゲイだ」「これはゲイへの差別だ!」と騒ぎ立ててクビになるのを免れる(本当はゲイじゃないのに)というのがあるんだけど、なんだかそれと似たようなムチャクチャさだね。
とにかく、企業は海外でそんなゴリ押しができるようになれば、何かトラブルが起こっても損をすることはないから安心だ。TPPは企業が海外展開する際に損をしないようなしくみを保証してくれるものなんだ。
つ いでに言っとくけど、外資系企業を差別するのはおかしい! とか、商売は対等な条件でさせろ! とか、そんなの、フェアじゃない! とか主張する人もいる んだけど、それはチャンチャラおかしい。繰り返すけど、国が自国民や自国の企業の利益を守るのは当然のこと。それこそが国の役目じゃないか。
大企業は自分たちに都合のいい考え方を人々に吹き込むために、「差別はよくないこと」「フェアであることが大事」「自由であることはよいこと」といった基本的な価値観を利用してうまく言葉を選んでくる。それにだまされちゃいけないよ。