2007年12月28日金曜日

国家の品格(藤原正彦著)からの引用

  第三章 自由、平等、民主主義を疑う 「真のエリート」が必要 より

 真のエリートには二つの条件があります。第一に、文学、哲学、歴史、芸術、科学といった、何の役にもたたないような教養をたっぷりと身につけていること。そうした教養を背景として、庶民とは比較にもならないような圧倒的な大局観や総合判断力を持っていること。これが第一条件です。 第二条件は、「いざ」となれば国家、国民のために喜んで命を捨てる気概があることです。この真のエリートが、いま日本からいなくなってしまいました。 昔はいました。旧制中学、旧制高校は、こうした意味でのエリート養成機関でした。旧制一高の寮歌の中に「栄華の巷、低く見て」という歌詞があって、時に「悪しきエリート主義」の象徴みたいに言われますけど、この歌詞はある本質を衝いていると言える。真のエリートには、俗世に拘泥しない精神性が求められるからです。

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