2007年12月15日土曜日

ウェブ時代をゆく(梅田望夫著)からの引用

   第三章 「高速道路」と「けものみち」より

 あるとき、優秀で人付き合いもきちんとこなす日本の若者(二十代後半)と話していて、「明日会社を辞めることになったらまず何をする?」と尋ねたところ、彼は絶句してしまった。きっと頭の中が真っ白になったのだろう。しばらくして「転職先も職業のイメージも浮かばない」と、自信なさげに私に言うのである。日米を比較していつも思うのは、米国の若者は力がなくてもやたらと自信がある一方、日本の若者は力があるのに自信がなさすぎる。「けものみち」を何とか二十年にわたって生きてきた私には、男女を問わず若者を見ればその人が「けものみち」を歩いていけそうかどうかの嗅覚が働くのだが、私が「大丈夫、君なら」と思う日本の若者たちの大半が、組織を離れて「一人で生きる」自信がないのである。ウェブ進化は、個をエンパワーするものである。個の可能性は、一つの専門性には制限されない。専門性や志向性の複合技で個の総合力を定義し、その力で自由に社会を生きていく。それが「けものみち」を歩くということだ。私は、ウェブ進化によってそういう可能性が大きく開かれたこれからの若者たちがうらやましくて仕方ないのだが、そう教育されていないからなのであろう、優等生ほど「けものみち」への想像力を欠き、未来に漠然とした不安な気持ちを抱いている。

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