2008年1月17日木曜日

社会起業家(町田洋次著)からの引用

  第3章 社会起業家が登場した背景 福祉国家はなぜ行き詰まったのか より

 日本のように国営の年金制度を採用している国では、支給の主たる条件が年齢なので、高額所得者も対象になってしまう。本来は生活に困る人だけが対象になっていたのだが、人道主義的擁護論の名の下に、大判振る舞いが行われ、年金をもらわなくても生活できる人にまで自動的に支給されるようになった。そうすると、まだまだ元気で能力がある老人も、福祉にどっぷりと依存した「年金生活者」になってしまう。かといって支給対象者をもとの低所得者に限定しようとしても、すでに既得権益と化しているから、支給対象者をスリム化することができない。こうして給付制度の独り歩きが始まり、その周りを利益集団が取り囲んで、ときに不正の温床となり、社会全体が身動きの取れない硬直したものになってしまう。

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