2008年4月13日日曜日

ホワイトカラーは給料ドロボーか? (門倉貴史著)からの引用

第3章 ホワイトカラーの給料はどうやって決まるのか? 強まる企業の影響力 より

では、なぜ、今回の景気拡大局面では、過去に比べて労働分配率が急激に低下しているのか。この背景には、景気循環とは別の構造的な要因があると考えられる。バブル崩壊によって未曾有の不況を経験した日本の企業は、景気が回復しても、従業員の賃金をアップしたり、新規雇用を増やすのを嫌がるようになってきた。企業は、人件費を増やせば、不景気になったときに再び人件費負担が高まる恐れがあるので、そうしたリスクを回避したいと考えるようになったということだ。中国や韓国の台頭で国際競争が激しくなっている製造業では、とくに人件費の上昇に慎重な姿勢をとっている。景気が回復しているといっても、それは企業収益が改善しているというだけで、企業の利益は企業に内部留保されたままで労働者に十分に還元されていない・・・。これこそが、景気が回復するなかにあっても、世の中のサラリーマンやOLが景気回復を実感できない最大の理由なのではないだろうか。今後、企業が業績の回復をもっと労働者に還元していくようにしなければ、個人消費が本格的に回復するタイミングが遅れて、景気回復に黄信号が灯る恐れもある。

0 件のコメント: